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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/22・29号
2006/8/8更新
ハーフ26の新記録で復活優勝!
46歳、C・ペイビン苦難の10年間

 コーリー・ペイビン(46)が、10年ぶりに優勝した。先のミルウォーキーで行われたUSバンク選手権で、待望の米ツアー15勝目の栄冠を手にしたのだ。96年のバンク・オブ・コロニアルで勝って以来、苦節10年。ツアー15勝とはいえ、タイガー世代のゴルファーには、ペイビンの名前すら知らない人も多いかもしれない。

 ペイビンはブルドックのニックネームで知られ、91年には賞金王を獲得、95年のシネコックヒルズで開催された全米オープンで優勝した名手として、古いゴルフファンには、人気のあるプレーヤーだった。

 特にこの全米オープンでは、最終日の18番ホールで、フェアウェイウッドで打ったセカンドショットをピン横に寄せて、バーディを取っての勝利。

 この勝利で、アメリカにフェアウェイウッドが定着したといえるほど、劇的なショットとして記憶されているのだ。

 この全米オープンは、当時まだアマチュアであったタイガー・ウッズが、深いラフに手首を傷めて棄権した試合でもあった。

 しかし、そのタイガーは、翌年プロに転向し、時代は、完全にロングヒッターの時代に突入した。

 そうした中で、ペイビンは、95年の年間平均飛距離が254・9ヤード(ランキング159位)、96年が248・1ヤード(189位)という『飛ばないプロ』の代表選手だった。

 ロングアイアンやフェアウェイウッド、パッティングの名手だったとはいえ、トーナメントの開催コースが続々改造されて、距離が伸びる中で、ペイビンはスランプに落ち込み、他のショットやパットまでおかしくなっていたのだ。

 今回優勝したブラウン・ディアパークゴルフコースは、6759ヤード、パー70と短いが、ペイビンは初日のフロント9で26という米ツアーの最少スコアの記録を作り、2日間でも125というツアーのタイ記録を作っている。

 4日間の平均パット数は26・5で、パッティングが冴えていたばかりでなく、最終日は、得意のフェードで、8番ホールで175ヤードのセカンドショットを一発で入れてイーグルを取るなど、往年のペイビンを復活させているのだ。

「人間は6年も7年も、自分自身に対して疑いを持たず、落ち込むことなく、収穫のない年を過ごすことは出来ないものだよ。この数年は、本当につらかった」と心情を吐露したペイビンだったが、一体どのようにして、復活が可能になったのか?

 一つには、やはりかつてのキャディ、エリック・シュワルツとの再コンビ結成だろう。

「彼の構えは、本当に違う方向を向いていた。直すのに2~3時間もかかったよ」と語るシュワルツとは、7月初旬のビュイック選手権で再コンビを結成。

 ティショットの飛距離こそどうにもならなかったが(今年の平均は264・5ヤードでランキング197位)、これで一気にパットも、ショットの方向性も良くなった。

 95年の全米オープン後に、日本メーカーと契約、クラブを変えたことが不調の要因となった、と口さがない外野の声もあるが、それより「決してあきらめることなく、努力し続けた」(ペイビン)ことと、キャディのアドバイスがきっかけとなって復活したというのが真相だろう。

 この10年の間に、トレードマークの口髭を落とし、髪もすっかり白くなったペイビン。

 離婚をし、さらに3年半前に再婚。心機一転して生活に臨んでいたのだが、ゴルフの方は、かつてのスタイルをやっと取り戻したといえるのかも知れない。

 ペイビンは、20年前にも、このミルウォーキーで優勝しており、コースとの相性もあるのだろうが、今回の優勝が、ベテランプレーヤーや飛距離の出ないプレーヤーにとっての朗報となったことは間違いがない。

 丸山茂樹をはじめとする、日本のプレーヤーたちも、アメリカでは飛距離や体力のなさに泣かされているが、ペイビンの勝利を糧に、奮起してもらいたいものだ。

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