全英オープン開催地のロイヤル・リバプールGCは熱波のためコースがサバンナ状態だったのは記憶に新しい。この暑さはアメリカのロスアンゼルスでも猛威をふるい40度の暑さで死人も出るほど。世界各地で起こっている異常気象に日本も襲われているようなのだ。全国的に日照不足となった今年の梅雨が、先月末にようやく明けたと思ったら、西日本では猛暑、一方の東・北日本は涼しい夏が続き、この先に不安を感じさせる。今年の不安定な天気に翻弄されたゴルフ場の声を集めてみた。
この梅雨で最大の打撃を受けたのは、九州各県のゴルフ場だ。先日、九州ゴルフ連盟(GUK)から発表された加盟192クラブの今年上半期の入場者状況によれば、1~3月は前年度比で大きく伸ばした入場者数も、4月からは3カ月連続でマイナス。
特に天候不順が続いた6月は、福岡県南部と沖縄県を除く全域で2桁の大幅減となった。なかでも宮崎は14パーセント強の大きな落ち込みだ。
それに追い討ちをかけるようにやってきたのが、7月の集中豪雨。
「集中豪雨のために地元のお客さんは皆キャンセル、遠くからのお客さんだけがいらしたという、実質クローズ状態の日が何日もありました。しかも、土・日に大雨になることが多く、県内のゴルフ場はどこも大打撃だろうと思います」(宮崎CC・坂上昌弘支配人)
熊本県でも集中豪雨による被害が出たが「特に20日~23日は豪雨でキャンセルが続き、この間だけで約200人の予約が取り消されました」(くまもと中央CC)
鹿児島でも薩摩川内市を中心に河川の氾濫など大きな被害が報じられた。当然、周囲のゴルフ場も営業どころではなかったのだが、同じ鹿児島県でも南のいぶすきGCでは、
「被害にあわれた地方の方には申し訳ないんですが、うちではほとんど降らず、もう少し雨が欲しかったくらいで……。豪雨の直接の被害はまったくありませんでした」(営業担当者)
狭い日本の中の、さらに狭い鹿児島県内でもこれだけの差があったとは驚きでもある。
ともあれ、九州地方は先月26日に、平年より13日も遅く梅雨明けした。ゴルフ場にとってはまずは一安心……、と思いきや、実は連日の猛暑で、今度はゴルファーの足のほうが湿りがちなのだ。
宮崎では連日34~35度の最高気温だから、プレーが敬遠されるのも仕方がない。「結局、宮崎の7月は平均して20パーセント前後の大幅マイナスになるのでは」という嘆息も聞かれた。
また、九州では4月から長引く低迷に、背に腹はかえられずで、しばらく聞かれなかった値引きサービスが一時的に復活しているという。
九州より南の沖縄では6月に長雨による大きな被害に見舞われた。カート道路の崩壊で、しばらくハーフの9ホールをクローズせざるを得なかったゴルフ場もあったほどだ。
GUKの発表では、沖縄県の6月の入場者数は前年度比8パーセント強のマイナスだったが「うちでは30パーセント近い落ち込みでした」(喜瀬CC)というところもある。
九州、沖縄のゴルフ場は、夏はどちらかというとオフシーズン。6月~7月の落ち込み分は、9月半ばからのゴルフシーズンに取り戻すことになる。
そこで気になるのが、この秋の台風の襲来だ。世界的な傾向として、台風は大型化しているだけに、心配になるところだ。
「今のところ、発生数は平年並み。日本への上陸数も平年並みか、それ以下。多くなることはないだろうと考えています」(株式会社ウェザーニューズ)
今年の台風の発生は6個(8月1日現在)と例年に比べて少ないが、この傾向が続くわけではなく、秋には平年並みかやや少ない数の台風がやって来ると予想されるということ。
どうやら、10個の台風が次々と上陸した2年前のような状況は避けられそうだ。ゴルファーにとっても、穏やかな秋がやってくることを願いたい。
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