女子ゴルフ界は若手の台頭が著しいが、また一人、女子ゴルフ界にスターが誕生した。8月中旬にオレゴン州パンプキンリッジGCで行われた全米女子アマで、ハワイ出身の韓国系アメリカ人、キンバリー・キムが、14歳と11カ月という史上最年少記録で優勝したのだ。
全米女子アマ111年の歴史の中で、これまで最年少記録を保持していたのは、1971年に16歳と2カ月で栄冠をものにしたローラ・ボー。
往年のゴルフファンには、当時のボーの人気の高さはよく知られたところだが、キムもなかなかのかわいらしさの持ち主。
しかも、今年は全米パブリック・リンクスで2位、全米女子オープンでも、日本の宮里藍より1打少なく、これまた史上最年少で決勝ラウンドに駒を進めるなど、メキメキ実力を付けているだけに、ミッシェル・ウィについで、ハワイから韓流スターが、誕生したといっても過言ではないだろう。
そういえば、今年の全米オープンで、最年少で参戦した日系のタッド・フジカワもハワイ出身で、全米女子オープンに参戦したやはり日系のステファニー・コウノや金子綾香といったジュニアのプレーヤーたちもハワイ出身。
なにやら、日本のツアーにおける沖縄が、アメリカにおけるハワイといった雰囲気で、続々ハワイから若手プレーヤーたちが出てきている。
祖先が沖縄出身で、ハワイでジュニアゴルフスクールを開校しているケーシー・ナカマ氏は「なんといっても、ハワイは天候に恵まれ、1年中ゴルフができる。その上、ジュニアゴルフをサポートしてくれるパブリックコースが多いことが、優秀なジュニアが育っている理由ではないだろうか」と語る。
ナカマ氏は、オアフ島で約250名のジュニアゴルファーを育てているゴルフ・デベロップメントセンターの校長で、男子ツアーのディーン・ウィルソン、女子のミッシェル・ウィや前出のステファニー・コウノ(現在米ゴルフウィーク誌の女子ジュニア部門でランキング4位)のゴルフの手ほどきをしたレッスンコーチ。
ウィはその後、D・レッドベターに付き、コウノは、フジカワと一緒にハワイのケビン・ラルボウスキーと言うコーチからレッスンを受けているが、ジュニアを専門としたゴルフの基礎つくりをしてくれる優秀なレッスンプロがいることも、ハワイのジュニアが強い理由でもあるのだろう。
加えて、ハワイには、日系、韓国系の移住者が多く、だからこそ、アジア系のジュニアプレーヤーが多く育ってきているのかもしれない。
先の23日に15歳になったキンバリー・キムは、本格的にジュニアの試合に出場するため、現在、母親とアリゾナに移住し、9月から転向する高校と家探しをしている最中とか。
ハワイには、蘭を栽培する父親が残っているが、姉の大学進学もあった上、やはり、アメリカ本土で大きな試合が開催されるために、試合のための移動を考えるとやはり、引越しをせざるえなかったのだろう。
ただ、このアリゾナ移転は、今年2度目の引越しで、今年の2月末にハワイから、一旦カリフォルニアに住んだ後、アリゾナに移っているのだ。
「カリフォルニアでは、ゴルフをするのに、お金もかかり、大変だった。その点、アリゾナはジュニアプログラムが充実していて、5ドルでプレーができるところもある」(キム)とかで、2度目の引越しを行った。
近場で安く、プレーができる環境、それに、しっかりとした基礎を教えてくれるレッスンプロがいれば、優秀なジュニアが、育ってくるということなのだろう。
その環境があるのが、日本では沖縄であり、アメリカではハワイということなのかもしれない。数年後の米LPGAは、宮里藍、諸見里しのぶをはじめとする沖縄出身のプレーヤー対、ウィ、キム、コウノといったハワイ勢との南国対決の場となるのかもしれない?
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