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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/12号
2006/8/28更新
ゴルフ界も薬物禁止指向に。
R&Aがこの秋、初めてドーピングテスト導入

 ツール・ド・フランスの覇者フロイド・ランディスが筋肉増強剤の使用の疑いで大騒ぎになったかと思えば、陸上短距離のアテネ五輪王者、ジャスティン・ガトリンが、薬物使用のために世界陸連から8年間の出場停止処分を受けた。

 さらには、シドニーオリンピックの陸上女子で3冠を獲得したマリオン・ジョーンズが全米選手権のトーピング(禁止薬物使用)テストで陽性反応が出たなどと報道され、このところ世界のスポーツ界では、ドラッグ問題の話題が相次いでいる。そうした中で、ゴルフ界にもいよいよドーピング検査の波が押し寄せてきた。

 ゴルフの世界では、フレンチオープンなどで、一定規模以上の国際試合では検査が義務づけられているフランスの法律により、すでにドーピング検査が行われてはいた。しかし、これまでゴルフ協会などが自主的にドーピング検査を行うことはなかった。

 それが、R&Aが10月末に南アフリカで開催する世界アマチュアチーム選手権で、薬物検査を行うことを発表したことにより、その波紋が広がっている。

「世界アマチュアチーム選手権には60~70の参加国があり、そうした国々のゴルフ協会すべてが、薬物使用に反対するという意見に賛成しており、この大会での検査に同意している。プロのツアーに関しては、私たちR&Aは直接の影響力を持っていないが、世界のプロツアーとは、話し合いを持って、ドーピング検査に前向きになるよう説得している」

 とR&Aのチーフエクゼクティブであるピーター・ドーソンが語るように、R&Aが≪最初の一歩≫を踏み出したことの意味は軽くはないようなのだ。

 これを受けて、日本のJGAでは
「ナショナルチームのメンバーには、いつテストが行われても良いように、居場所(連絡先)を教えてもらっている。JGAとしては、まだ、日本の試合での具体的なドーピングテストの実施は検討していないが、アンチドーピング機構は、政府の援助を受けて、検体数を増やすように指導をしている。ドーピングは自分の体を侵す危険がある上、フェアにプレーをする、という観点からも、時代の流れは、テストを行う方向に動いている」(塩田JGA事務局長)
 としている。

 今回の世界アマチュアチーム選手権は、≪リハーサル≫ということで、この試合以降、どこで、検査を行うかは決まっていない。

 またPGAツアーでは、「ゴルフには審判がおらず、自分が自分のプレーに責任を持つスポーツ。そうした意味では、検査の必要性を感じていない」(T・フィンチェムコミッショナー)と消極的だ。

 ゴルフ界が、これまでドーピングテストに消極的だったのには、興奮剤や筋肉増強剤を使ったとしても、どれほどスコアに影響するかが、疑問視されていたこともある。

 しかしその一方、先の全米プロのように、ゴルフコースのヤーデージが伸びる中で、飛距離を伸ばそうとするプレーヤーが、多いことも事実だ。

 野球の大リーグでは、ドーピングテストが行われるようになってから、年間のホームラン数が激減するということも起こったが、あるいはゴルフでも、飛び過ぎなどという疑惑を払拭するためにも、検査は必要なのかもしれない。

 ただ、現在、国際アンチドーピング機構が行う検査は、複雑な規定がある上、禁止されている薬剤も、100数10種類もあり、医薬品でも陽性反応が出る場合がある。しかも、どんな医薬品がダメなのかも、所属するスポーツ団体を通して、文書でアンチドーピング機構に問い合わせなくてはならないのだ。検査用の尿採取に際して、オフィシャルが立ち会うなど、恥ずかしい(?)場面もある。

 そうしたことから、もう少し、検査がしやすい環境づくりも必要だろうし、ゴルフに限っていえば、ルール上の規定を含めて、独自の環境整備が必要ということかもしれない。いずれにしても、流れは、ドーピングテスト推進の方向で動いていることには間違いはないのだが……。

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