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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 9/12号
2006/8/28更新
ギャラリー増加で女子プロ協会は儲かる?
藍チャン初戦チケットの不思議

 宮里藍が帰ってくる。今季はルーキーとして米ツアーに専念して、これまで19試合に出場。メジャーの全米女子プロ選手権では、最終日、最終組でプレーして3位になっており、優勝こそなかったが賞金ランキングも19位(8月25日現在)とまずまずの位置で、凱旋帰国と言えそうだ。


この秋、藍ちゃんフィーバー炸裂!

 注目の初戦は日本女子プロ選手権。日本女子プロ協会(LPGA、樋口久子会長)は、渡米前から「公式戦には出場してね」とくどいくらいに念を押していた。

 宮里は、先にディフェンディング・チャンピオンとして迎える日本女子オープン参戦を決めていたが、米ツアーで成績を残したことで帰国を早め、協会側の要望に応えたかっこうだ。

 さらに、東北高時代を過ごした宮城県が舞台で、さらには高校3年のアマチュアで初優勝を果たし、プロ転向のきっかけとなったミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンにも参戦。まずは日本での3試合が決まった。

 米ツアーもまだ、数試合が残っているが、終盤は韓国や日本でも試合を行うため、ここでの参戦が濃厚だ。

 宮里の日本ツアー参戦は、協会はもちろん、ファンやとってもうれしい出来事。つまり、その恩恵を受ける業界にとっても歓迎すべき事態だ。

 だが、その実態はどうなのか。帰国初戦の日本女子プロ選手権はギャラリーの多さが予想されるが、一部にはどんなにギャラリーが入ってチケットが売れても、LPGAには収入が入らないという噂も飛んでいる。が、実情はむしろ逆だ。

 今年に限らず、日本女子プロ選手権は、開催コースがチケット販売権をすべて買い取るシステムになっている。

 例えば、2002年から3年続けて関連コースを舞台にした太平洋クラブは、年間7000万円を支払った。

 また、過去にはチケット販売権が高額なため、候補になったコースとの話し合いがもつれて開催地が決まらず、値段を下げて関係者がコースを斡旋したこともあった。

 そんなシステムを知らないまま開催を決め、1億円の販売権を提示されたコースもある。あきれながら必死で売りまくったが、それでも数千万単位の赤字が出てしまったと言う(金額はいずれも推定)

 今年のニドムクラシックCCが買ったチケット販売権は推定1億円。米国帰りの宮里の初戦とあって、チケットの売れ行きは悪くないはずだが、それでも4枚綴りの前売り券が8400円。

 ほかに当日券があるにせよ4枚綴り券でいえば、これが1万1904セット(4万7619枚)は売れないと元は取れないことになるが、最初からLPGAは損はしない仕組みが出来上がっているのだ。

 これでは、いままで顰蹙を買い続けてきたシステムを、宮里参戦をエサにまだ続けていると陰口が叩かれても仕方ない。

 そんな大人の事情はさておき、期待を一身に背負ったスーパーヒロイン、宮里の帰国によって女子プロ人気が再び盛り上がるのは目に見えている。米国で経験を積み、技を磨いた宮里も期待に応えるに違いない。

 大会運営側でも、宮里の出場を予測して、シーズンの早い時期から通常の最低1.5倍という観客動員数を見込んで準備を進めている。

 だが、宮里の渡米後、一時落ちたテレビ視聴率といい、今回の大歓迎ぶりといい、すべてが宮里1人におんぶに抱っこ。今季、初優勝の選手が次々に誕生し、新女王、大山志保の誕生を心待ちにしているとは言え、それでも宮里様様なのが、女子プロ界の現状だ。

 その最大の象徴が、チケットの販売形式。これでは今後、お金だけあって、名前を売りたいコースを優先するか、開催コースが見つからないという事態にもなりかねない。この興行システムを改善しない限り、明るい未来はない!?

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