ビッグニュースが続いた先週の4日、東京地裁では、証券取引法違反の罪に問われたライブドアの前社長・堀江貴文被告の初公判が行われた。しかし、その直前の8月末日、同社のゴルファー向けウェブサイト「WOO-GO(ウーゴ)」がひっそりと幕を閉じていた。「ホリエモン杯」というゴルフイベントを開催するなど、ホリエモン自身も力を入れていたゴルフ事業の顛末を振り返ってみた。
ライブドア(正確には同グループの(株)ライブドアファイナンス)がウーゴを中心にしたゴルフ事業に乗り出したのは04年の夏のこと。
ゴルフ場予約サービスのサイト運営など、同社が得意とする分野の市場調査を経て、同年暮れに「ウーゴ」のサイトを立ち上げた。
そのスタートに際しては、当時、本誌も取材している。そのときは、当面は予約サービスを柱に利用会員数と登録ゴルフ場のネットワークを広げ、そこからチャンスがあれば新たな事業を模索していきたい、とのことだった。
だが実は、当初から、いずれ利幅の大きな物販に着手すること。さらには、ゴルファー層とファイナンス部門の顧客となる富裕層は重なる部分が多いので、登録会員をファイナンスに引き込むという狙いがあったようだ。
また、ゴルフ場を対象に、経営支援、さらには買収し、実際に経営するといったビジネスモデルも視野に入れていた。
サービスの基本となるネット予約は、当時から大手2社(ゴルフダイジェストオンラインと楽天GORA)を中心に市場の勢力図はほぼ固まりつつあった。
だが、ライブドアは「調査の結果、利用しているゴルファーの数は延べにして約270万人、すなわち全体の3パーセントほどに過ぎず、特化したサービスを提供できれば、新たな利用者はまだまだ獲得できる」と判断した。
実際、当時、利用者の数は毎年倍々ペースで伸びていた。そのなかで、他サイトがまだ契約できずにいる人気・有名ゴルフ場を獲得するなどの特色を出せれば、勝機もありそうだった。
ところが、同事業に関わった関係者のひとりは「その計画が思うように進まず、最後まで特化したサービスを打ち出すことができなかった」と振り返る。
そのうえで、「利用者にとって予約サイトは、よほど特化したサービスがなければ、1社あればこと足りるサービスなんです。ですから、大手2社にほぼ独占された市場では、同程度のサービス内容である限りは、シェアを奪うことは難しい」と語る。
思うように利用者が伸びないなか、ウーゴは昨年暮に思い切った手に出た。
それは業界で初めて、毎月1億円規模の予算でゴルフ場(約100コース)のスタート枠をウーゴが買い取り、それを同サイトと、さらに昨年10月に提携した中古ショップチェーンの「ゴルフパートナー」の店舗で予約を受け付けるという大胆な手法だった。
さらに同じ時期、ライブドアはバリューゴルフ社に資本参加して業務提携を実施した(現在は解消)。バリューゴルフは公称42万部の大部数を誇るゴルファー向けフリーペーパー『バリューゴルフ』と、電話による予約代行サービスを行う会社である。
もともとライブドアもネット予約を増やす目的で、独自のフリーペーパー発行を企画していた。
しかし、当時は豊富な資金力があったため「お金で済むなら……」といった勢いで投資したのだろう。ところが、その矢先にホリエモン逮捕という事態の急展開が起こった。
「バリューゴルフとの提携で、ウーゴにもシナジー効果が期待されたところでした」と先の関係者。その後、ライブドアファイナンスはバリューゴルフを含め、ゴルフ事業から徐々に撤退。
そして、8月31日、ついにウーゴのサイトを閉鎖。同社自身、目下引き受け先を探しているといわれる。
ライブドアが去ったネット予約サービスだが、今後も2強時代が続くのだろうか。それとも、IT技術の進化により、まだまだ紆余曲折があるのだろうか。
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