ゴルフ場買収の先駆けであるローン・スター(以下、LS)、ゴールドマン・サックス(以下、GS)の2大外資の傘下コース数が、ともに100を越えたことが判明した。同じ外資でありながら目指す方向は微妙に違う両者の、今と目指すところを探ってみた。
LSはゴルフ場の施設保有会社の持株会社・パシフィックゴルフプロパティーズ(株)(以下、PGP)と、実際のコースの運営管理に携わるパシフィックゴルフマネージメント(株)(以下、PGM)の持株会社としてパシフィックゴルフグループ(株)を置き、さらにその親会社としてパシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングス(株)(PGGIH)がある。
1階がPGPと、お馴染みのPGM、PGPは地下付きで、昨年暮れに上場したのは3階のPGGIHというわけだ。
9月6日時点でPGMは、PGPグループ保有の98コース(未開場の芝山含む)のほか、PGP保有ではない小幡郷GCなど計8コースの運営も受託しているので、PGGIHグループの傘下コースは保有97(芝山込みで98)に、運営受託8の合計105(芝山込みで106)
ただし、運営受託8コースのうち、大山アークと長太郎は、LSグループのスターキャピタル保有なので、LSグループとしては内訳が保有99(芝山込みで100)に運営受託6となる。
しかも「2010年までに保有140、運営受託60の合計200コースを目指す」といい、まだまだ取得意欲は旺盛だ。
GSも、今年末から年明け頃にアコーディア上場が噂されているが、≪GSグループの保有にはアコーディア運営ではないコース≫が9月6日現在で10コースあり、「アコーディアの運営コースは91、3ホールのアコーディアゴルフガーデン込みで92」、というのがアコーディアの公式見解だ。
旧東和ランドグループの3コースのようにGS傘下でありながら≪アコーディア化していない≫、つまりアコーディアの運営ではないところもある。
GSグループが7月に三井住友建設から買収した5コースや、霞台、ザ・サザンリンクスは今後入るが、正式にはまだ、という段階のところもある。
従って、アコーディアでは91もしくは92だが、GSでは101もしくは102。9月15日に取得予定の秩父国際も入れると、アコーディアで92もしくは93、GSで102もしくは103となる。
もっとも、アコーディアはGSグループ外からの運営受託への参入も表明しているが、「残念ながら現時点では実績はまだゼロ」(アコーディア広報)
それでは運営面で、2大外資にはどの程度の違いがあるのだろうか。ゴルフダイジェスト社会員権サービス部田嶋一弘課長によると、
「乗用カートのフェアウェイ乗り入れ解禁、クラブハウス内のショップを街中のショップなみに品揃えを増やして値段を下げたりといった、抜本的なテコ入れなど、どちらかが導入した施策にはもう一方もすぐ追随する。年会費の一斉値上げもほぼ同時だった。最も違うのは、アコーディアではオペレーションが全コースで統一されているのに対し、PGMは支配人の裁量が大きく、地域性やそのコースの所属会員の実情に合わせた運営が行われている印象がある点。」という。
PGMも「画一化せずにコースごとに会員の特性に合わせて独自色を出す」(PGM広報)方針であることをアピールしている。
例えば入会審査の申請書。アコーディアは本部に提出、そこから各コースに振り分けられ、入会審査ルールも全国一律だが、PGMはコースに直接提出し、入会審査ルールにも多少柔軟性がある。
「保守的な日本のゴルフ場業界を大きく変えた2大外資の貢献度は大きい。ただ、両者ともビジター獲得に邁進した結果、ラウンドに時間がかかりすぎる、ざわざわしていて落ち着かないといった不満が、会員からかなり出ているのも事実。誰もが楽しめるゴルフ場を目指すというタテマエと、現実の間には少なからずギャップがある」(田嶋氏)
そのギャップをどう埋めていくのかが、2大外資の当面の課題と言えそうだ。
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