国内男女両プロゴルフ協会が続けてきたトーナメントでのボランティア活動がすっかり定着してきた。日本女子プロゴルフ協会は96年からルーキーキャンプと銘打ち、協会主催の日本女子プロゴルフ選手権を舞台に、その年のプロテストに合格した新人たちを、交通費自腹で大会に呼んでいる。
スコアラーやキャリングボード、リーダーズボード、ドライビングディスタンス測定、さらにはスナッグゴルフや招待した地元小学生への対応など、様々な仕事をこなして、トーナメントの仕組みを学ぶ。
これまでジュニアゴルフや研修生としてのツアー出場は経験している面々も、興業としてのトーナメントについてはほとんどわかっていないため、あまりにも多くの人の手で支えられて成り立っていることと、それぞれの仕事のハードさに目を丸くしたという。
LPGA事務局でプロテスト、ルーキーキャンプを担当する佐藤ゆみさんによれば「『ちょっとした気遣いでファンが喜ぶのがわかる』『ゴルフをしている方がマシです』などという言葉や、謙虚な選手とそうでない選手の姿を見て『あんなふうに偉ぶる選手にはなりたくない』という人などもいて、ファンへの対応の仕方を学んでいるようです」と、効果は出ているようだ。
今年の参加者は、21人のプロテスト合格者と、ティーチング部門の新会員17人の合わせて38人。この経験を今後のプロ生活に生かして欲しいものだ。
一方、男子のPGAのボランティア派遣は人数の多さから様々な機会に行われている。
基本的にツアー競技開催はほとんどないPGAだが、自ら取り仕切るシニアツアーや、ツアーを管轄するJGTOとの間に話をつけてのツアー競技などでのボランティア活動を義務化。
いまのところ1日、1回のボランティアが義務化されている。内部事情から3年分の入会者がたまってしまった今年は、なんと400人がその対象とあって、あちこちのイベントでプロたちが働く姿が見られる。
「義務なの?」などと、文句を言う者がいないわけではないが、こちらもキャリングボードやリーダーズボード、近隣小中学校の校外学習の世話や子供広場の担当などLPGAと変わらない内容となっている。
ただLPGAと違うのは、人数の多さと、交通費などを考慮して、希望する自宅近くでの活動を選べること。
「本当は主催する日本プロゴルフ選手権でできればいいのですが、そうもいかなくて」(PGA事務局)ということだが、かえってあちこちの大会に顔を広げる結果にはなっている。
どちらの協会も社団法人とあって、ゴルフそのものの普及だけでなく、ゴルフを通して社会に奉仕することは団体の義務。
もちろん、今回のボランティアは、いうまでもなくゴルフの普及をはかり、ツアーを成り立たせていく上でも、社会とのつながりは大切だとの理念に基づいている。
日本でも中学、高校などの事業の一環として、ボランティア活動や職場体験などが当たり前になっている現在、プロ1年生たちが自分たちの住む世界をしっかりと認識するのは当然のことだろう。
前協会幹部の犯罪が表沙汰になり、さらには前出のプロのスコア改ざんという事件まで起こして、男子プロの評判ガタ落ちの昨今。
それでも、プロ志望の若者は後を絶たない。それだけに、将来を担う若者たちこそ、今、学べることをしっかりと吸収して、ゴルファーとしてだけでなく、人間としても恥ずかしくないように成長して欲しいものだ。
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