宮里藍が優勝した先のミヤギTV杯ダンロップ女子オープンで、もう一つの史上初というテストが行われていた。初めての試みで、規模は小さかったが、今後大きな意味を持つことが予想される動きだけに、看過できないものだったのだ。そのテストというのは、ジュニアゴルファーの検定会。東北地区で、検定会が開催されるのは、初めての上に、プロのトーナメント会場で、開催されるというのも始めてのことだった。
これは1年ほど前から、NPO法人日本ジュニアゴルファー育成協議会(JGC)という団体が始めたもので、JGCの構成団体である全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)がジュニア・ステップ・アッププログラムの一環として行っているもの。
ジュニアを対象に、1級から15級まで、技量だけでなく、ルールやマナーの理解度も審査する。
合格すれば、級に応じてバッジが与えられることから、ジュニアにすれば、励みにもなるし、ゴルフ場などが、ジュニアを受け入れる目安(1~10級がコースでのラウンド可能な実力が認められる)にもなるというものだ。
現時点で、この検定試験を受け、級を貰っているジュニアは、まだ400名前後だが、この1年間は、検定会が開催できる認定ゴルフ練習場(現在 52箇所)や公式な検定委員(審査員のことで現在136名)の育成などに力を注ぎ、この制度の下地が出来た段階で、今回のトーナメント会場での検定会となった。
「今回の検定会は、12歳くらいまでのジュニアが男女合わせて20名が参加した。ペーパーテストがあることから、検定会は基本的に小学生から高校生を対象にしているが、今ジュニアスクールなどには幼稚園生も多数おり、低年齢化している。そのため、幼稚園の子どもたちからも検定会に出たいという申し込みが殺到しているのだが、今後は親の付き添いのもとで受験させる方向も考えている」(内藤裕義JGRA会長)という盛況ぶりなのだ。
さらには「今後もトーナメント会場での検定会は続けてゆく方針」(JGRA事務局・田坂陽介氏)ということで、全国を回るプロツアーと、ジュニア育成プログラムが結びつけば、今後、大きな流れになる可能性は十分にある。
考えてみれば、ここのところ、ジュニアや子供向けのゴルフの活動が活発になっている。
サントリーオープンで、スナッグゴルフ(子ども用のプラスチック製のクラブ・ボールを使用したゴルフ)の大会が9月10日に開催されたと思ったら、17日には、全日本小学生ゴルフトーナメントの第1回決勝大会が開催され、そして24日には、今回紹介した検定会。
そして、10月1日には、第4回スナッグゴルフ対抗戦JGTOカップが、衛星放送局でテレビ中継されるなど、≪競技ゴルフ≫とは一線を画したジュニア育成の活動が目白押しとなっている。
少子化問題が取りざたされ、ゴルフ人口の先細りが懸念される中で、ジュニアの育成は急務といえるが、その一方で、紳士淑女のスポーツであるゴルフを学ぶことによって、スポーツマンシップはもちろんのこと、マナーやエチケットを知ることが、少年の非行の問題などにも、役立つことが認識され始めている。
その先駆となっているのが、アメリカのファーストティプログラムといわれるもので、アメリカの主要なゴルフ団体が共同して9年ほど前にスタートさせたこのプログラムは、すでに68万人もの参加者を数え、今では、学校の体育や課外授業などにも取り入られるようになっているのだ。
JGCの今年度の計画では、「アメリカのファーストティと提携し、日本への本格的導入を図る」とあるが、この導入が成功すれば、現在のジュニア育成活動の興隆と相まって、一気に花開く可能性も出てくる。
現時点では、例えば検定会の参加費用が3500円と、子どものこずかいにはちょっと高額だが、ゴルフを通じて、子供たちにマナーや社会性が付くというのだから、安倍新政権の課題とする教育問題の解決策にもつながる。
また、企業の社会活動、つまりはスポンサーが付くことも可能になるはず。そうした意味でも、ジュニア育成活動の今後から目が離せない。
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