クラブメーカーは今年一斉にSLEルール適合ドライバーを投入した。しかしゴルファーの買い替え需要は思いのほか伸び悩んだ。仕切り直しの2007年に向けた各社のドライバーのニューモデルに迫ってみた。
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V-iQのプロトタイプを使ってドラコン優勝したダーティン(左) インプレスXのプロトタイプ(右)
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今年期待したほど売れなかったモデルをさらに1年ひっぱるのは難しい。起死回生を図るべく来シーズンは、2年サイクルでモデルチェンジしてきたクラブも予定を前倒しして、フルチェンジで登場させるメーカーが多いと見られている。
発売前のニューモデルのカタチがもっとも早く見られるのは男女のプロトーナメントだ。この時期、契約プロを抱えるメーカーは、来春の発売に向けて最後の実戦テストを行っている。
その中からおぼろげに姿を現してきた第2世代のルール適合ドライバーを予想すると……、ヘッドサイズは、さらに大きくなりそうだ。
契約女子プロの多くが8月末からバッグに入れ、宮里藍も使い始めたブリヂストンV-iQのプロトタイプは、現行V-iQとデザインが似ているため見分けはつきにくいが、ヘッドサイズは明らかに一回り大きく、460ccまで拡大されている。
また、間もなく正式発表されるXドライブのプロトタイプには、同じソールデザインで430ccと460ccが存在する。
藤田寛之がテストしているインプレスXのプロトタイプには425Vの刻印があり、顔つきはほとんど変わらないものの410Vからはサイズアップが図られているようだ。とくればおそらく445Dの後継モデルは460Dということになろう。
手嶋多一や川岸良兼が使うミズノMPのプロトタイプには425の刻印が見える。MP003の420ccとほとんどサイズ的に変わらないものの、5ピースフォージドチタニウムの刻印通りなら中身は大きく進化することになる。
おそらく、MPシリーズのプロ志向を残しながら、多彩なフィッティングによってアマチュアにも使いこなせるクラブとなるだろう。
さらに、まだ姿形はまったく見えて来ないが、後に控えるJPXにも劇的な変化が予想される。高反発の時代からヘッドが大きくなるのに伴い、フェース面が広くなって、≪広反発≫ へと開発の方向性が転換したことで、今後は各社独自のアイデアがものをいうということだ。
ヘッドサイズがルール上の限界460ccに達すれば、次の手だてはシャフトの長さ。現に宮里藍のV-iQは45・5インチが標準仕様といわれている。
タミー・ダーティンは同仕様のクラブで、女子プロ公認ドライビングコンテストで286・9ヤードを飛ばして優勝し、はからずも長尺の実力をお披露目する形となった。
異形フェアウェイウッドが女子ツアーでじわじわと浸透しているヘクサスからも45・5インチのドライバーが登場する。
クラウン後方が盛り上がった独特のデザインで、45・5インチを採用した理由について「460cc級ヘッドのポテンシャルを最大限に生かすには長い方がいい」と話す同社の依田夏樹氏はさらに、
「コブの視覚的効果でヘッドが近くに見えるので、ほとんどの選手は長さに気付きません。重量とバランスの問題さえ解決すれば46インチ以上でも十分いけます」と長尺の可能性を示唆する。
「確かに男女問わず長いシャフトを試す選手は増えています。ボールとヘッドが規制されると、違いを出すとしたらシャフトしかありませんから」と証言するのはシャフトメーカーのプロ担当だ。
「ミート率の問題があるので長くしたくない」というメーカーもあるが、以前の長尺ブームの頃と比べたら、4軸カーボンなどシャフト自体の性能向上も著しく、感覚的にもヘッドが大きいのに短いままだと違和感があるゴルファーがいるのも事実。45・5~46インチ程度なら標準の範疇といっていいのかもしれない。
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