≪団塊の世代≫の定年退職が始まる07年以降をにらんで、各業界で同世代をターゲットにした商品が発売されている。ゴルフ&リゾート業界でも、このところゴルフ場を中心に住宅・別荘、リゾート施設等をセットした新形態の不動産や会員権が次々と売り出されている。シニアの富裕層を狙ったこれら新商品に対する反響は……。
業界にとって団塊世代は、とにかく≪上客≫のようだ。彼らは、高度成長期に育ってきたため、もともと消費性向が高いうえに住宅などのローン返済や養育費の支払いの目途がたち、可処分所得が多い。
しかも、高額の個人金融資産を蓄えている世帯が多いところに、来年以降は定年退職によって多額の退職一時金が手に入る。
某経済研究所によれば、団塊世代(47年~49年生まれ)が保有する個人金融資産は、彼らが60~64歳となる09年度には、金融資産総額265兆円にもなるという。これを放っておく手はないとばかりゴルフ場業界でも、団塊世代を狙った商品の開発が盛んだ。
その一社、東急不動産では昨年3月に取得した那須国際CC(27ホール)のうち9ホールを閉鎖。そこに会員制リゾートホテル(東急ハーヴェストクラブ那須、10月1日開業)と別荘地を設けた複合リゾートを開発、販売した。
別荘地は総246区画中、約110区画が、また現在514万円で販売中のリゾートホテル会員権も総募集1680口のうち、約900口が売れている(8月末時点)
「どちらも予想を上回る売れ行きです。ハーヴェストクラブ那須の会員権は1年以内に完売の見通し。購入者の8割近くは東京・埼玉・千葉の居住者で、やはり団塊の世代を中心に、60歳前後の方が多いようです」(経営企画部 広報グループ)
ちなみに、ホテル会員、別荘地購入者とも那須国際CCでは優待料金でプレーができ、また会員権も割安で購入できる。
同CCは1962年にオープンした林間コース。うち9ホールを、樹木を残したままで開発したホテル&別荘地というから、いきなり落ち着いたたたずまいのリゾートが誕生した。
ゴルフ場、ホテルなどのリゾート事業を多角的に展開しているリゾートソリューション(旧・ミサワリゾート)では、以前から会員によるタイムシェア方式の別荘「ヴィラリゾート」事業を運営してきたが、今年8月、茨城県の久慈ガーデンGCのコース内に温泉付き別荘を2棟建設。
同所をタイムシェアで利用できる同GC会員権「ゴルフヴィラ久慈ガーデン」の募集を始めた。
同別荘は、10番ティの脇に建てられた瀟洒な平屋建てで、1棟に付き12口の会員権が販売される。販売価格は580万円(入会金391万円、入会保証金189万円。利用期間は10年で保証金は10年間で全額償却)、同GCには1口で2名正会員登録できる。
タイムシェアによる別荘利用は毎年24泊だが、グループ内の他のリゾート宿泊施設の利用権と交換可能など、多くのサービスが付いている。
「プチ富裕層でも購入できる価格なので、個人客からの問い合わせが予想以上にありました」と同社広報担当。
8月末の募集開始で、300件を超える問い合わせがあったという。そのため、年内にあと2棟の建設を開始。今後は、別荘の規模のバリエーションを増やしたり、グループ内の他のゴルフ場での展開も探っていきたいと強気だ。
もう一社、関東を中心に「チャーミング・リゾート」5コースを展開するゼクスグループでは、日本初の「シニア住宅優待申込権付きゴルフ&リゾート会員権」の募集を今月から始めた。
「シーステージ・メンバーシップ」と呼ばれる同会員権は350万円(第1期)で、グループのいずれかのゴルフ場の正会員になれるのだが、うち9割の315万円は同社が運営するシニアレジデンス(健常者向け高齢者住宅、4施設)、または要介護者向け住宅(18施設)の入居金に充て、随時入居ができる。
ただし、入居後はゴルフ場正会員資格は消滅。第1期は300口を販売。転売はできないが、2親等以内の親族には1回に限り譲渡可能という商品だ。
団塊世代をターゲットに、ゴルフと不動産や各種リゾート会員権をセットにした、プチ高額商品、いずれも、退職一時金で手を出しやすいという価格。
一部にはすでに人気上々というが、バブル崩壊を経験したゴルファーは、果たしてどう反応するのか。老後は豊かなゴルフライフを送りたい、でもバブルの二の舞はごめんだという人たちの動きが、興味深い。
|