米女子ツアーの賞金女王争いが、過熱している。過去5年間、女王の座に君臨している 36歳のアニカ・ソレンスタムに対して、24歳のロレーナ・オチョアが、待ったをかけようとしている一方で、31歳のカリー・ウェブも女王返り咲きを虎視眈々と狙っている。米LPGAツアーは今週の韓国、来週の日本でのミズノを含み、残るところ4試合だが、まだまだ、女王の座の行方が分からず、この3人が、デッドヒートを繰り広げている。
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三つ巴の戦い! 左からオチョア、アニカ、ウェブ
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今季234万ドルを稼いで、10月15日現在、賞金ランキングのトップを走っているのは、10月に入って、2連勝しているオチョア。
昨年来、米女子ツアーは、宮里藍を始め、ポーラ・クリーマー、モーガン・プレッセル、ミッシェル・ウィといった、10代や20代前半のプレーヤーばかりが注目されたが、そうした中で、ほとんど無視(?)された格好のオチョアだったが、これに発奮してオフに猛練習、シーズン初めから「LPGAの実力ナンバー1になりたい、今年はトップを目指す」と豪語していた。
そう語るだけあって、メジャーのクラフトナビスコでは、ウェブにプレーオフで敗れたものの、武富士クラッシックを始め、今季5勝を上げた。優勝のほか、今季23試合に参戦して、2位になること5回、ベスト5には16回と出場したほとんどの試合で、優勝争いに顔を出しているのだ。
先のサムソンワールド選手権では、そのオチョアに、一歩及ばす2位となったソレンスタムは、現在、190万6126ドルでランキング2位。
今季は全米女子オープンを含めて3勝だが、9月以来、4戦して、1位、2位、2位、2位という成績。調子がいいだけに、オチョアが女王の座に王手をかけているとはいえ、彼女が失速すれば、逆転のチャンスは十分にある。
というのも、これからは優勝賞金が20万ドル前後の高額賞金の試合が続くからだ。9月末のロングスドラッグ・チャレンジでソレンスタムに競り勝ったウェブは、188万9613ドルで、今季4勝のランキング3位。
過去10年間で賞金女王の座についているのは、ソレンスタム以外では、ウェブだけで(96年、99年、2000年の賞金女王)、そんな実力の持ち主も、「調子は悪くない。やはり、目標はトップに返り咲くこと」と語っているのだから、オチョアも安心できない。
もっとも、ウェブもソレンスタムも、オチョアとは40万ドル強の差があることから、少なくともあと2勝、あるいは1勝で、残りはすべて2位くらいの成績を収めないことには追いつかない。
そこで注目されるのが、ミズノクラッシックということになる。2001年からこの試合で5連勝しているソレンスタムとしては、女王の座を守るには、是非とも、連勝記録を伸ばしたいところ。
しかし、日本には、宮里藍という伏兵がいる。なにしろ日本への帰国直前にパッティングのグリップをクロスハンドに変えてから絶好調。
好きなクラブはパターという宮里だが、アメリカでは、平均パット数は1.78(16位タイ)のところ、日本に帰ってからは、1.7358と、参戦数が少ないため、ランキングには乗っていないが、トップの成績(アメリカでも、1.73ならトップタイ)
しかも、先の富士通レディスでは、3日目、「パターの(両手の)握りの間隔を少し離したら、腕との一体感が出て、球のころがりが良くなった」と試合途中でも、調整が出来るほど、パッティングに自信を取り戻している。
となれば、オチョア、ソレンスタム、ウェブの3強と戦っても、引けはとらないはず。つまり、ミズノで、宮里が勝てば、結果的にオチョアの賞金女王の道が大きく開けるというわけだ。そういう意味では宮里がキーパーソンになる。
もちろん3強の全員が4試合に出場するわけではない。オチョアはミズノに欠場して次戦トーナメントオブチャンピオンズにそなえる動きをとっているが、賞金女王をめぐる3強の動きに、目が離せなくなりそうだ。
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