ローンスターグループ(以下、LS)のパシフィックゴルフインターナショナルホールディングス(株)(以下、PGGIH)の上場から11カ月。ゴールドマンサックスグループ(以下、GS)の(株)アコーディア・ゴルフが11月1日、東証一部に上場することが正式に決まった。上場に伴い、新規に発行される株数は5万株。正式な発行価格は新株に応募する投資家がどのくらいいて、いくらぐらいの金額を希望するかによる。現段階では18万5000円程度と見られているので、この金額で計算すると、約90億円の資金をアコーディアは手にすることになる。
アコーディアは、新株の公募と売出のために発行された株式発行・売出目論見書の中で、「90億円は今後のゴルフ場買収に使う」としているが、今の情勢だと、90億円で買えるコースはせいぜい4~5コースだろう。
発行済み株式総数も上場前から5パーセントほど増えるだけだから、実はかなり小規模な資金調達と言える。
アコーディアが手にする金額に比べ、GSが手にする金額はケタが違う。GSはアコーディアの上場に伴い、52万8000株の持株を売りに出す。1株18万5000円で計算すると、その額およそ977億円。
上場で1000億円近い投資を回収する一方で、GSの持株割合は44パーセント程度に落ちてしまう。議決権で過半数を割り込むところまで持ち株を放出するとは、かなり思い切った決断だろう。
それではLSの時はどうだったか。 PGGIHの公募価格は11万2000円。新規に発行したのは6万株で、PGGIHが手にしたのは55億円強と、アコーディアの約6割。発行済み株式総数は上場前から比べると5.4パーセント増と、この点では、ほぼアコーディアと同じくらい。
一方、LSが売出した株数は29万7000株で、回収した投資は330億円強。ちょうどGSの3分の1。持株割合は上場後も約7割を維持した。
投資した資金の回収姿勢はGSの方がよりどん欲ということになる。
最大の関心は、配当や株主優待だ。PGGIHは今のところ無配。株主優待については「出すかどうか検討段階」(PGGIH広報)だという。
このあたりの疑問、是非ともアコーディアに聞いてみたいところだが、「上場前なのでコメント出来ない」(広報)という。
業績予想や配当予想、株主優待などはすべて上場が済まないと公表出来ないのが証券取引所のルール。従って、このあたりは11月1日の上場を待たねばならない。
株主優待制度をうまく運用出来れば、会員にPGGIHやアコーディアの株主になってもらうことが出来る。PGGIHの株価は、公募価格を大きく上回る16万2000円で初値が付いたものの、その後は上場以来乱高下が続いた。
今年1月には30万円を越える局面もあったが、6月には公募価格スレスレの12万5000円まで落ちたこともある。
10月19日終値は18万円なので、とりあえず初値は上回っているが、安定的に持ってくれる株主作りは重要だろう。
会員としては「株主優待よりもまず会員」と言いたくなるところだろうが、市場に上場する会社には、株主に報いる義務もある。
会員が株主になりたくなるような仕掛けをしてくれれば、会社にとっても会員にとってもハッピーだ。どうバランスをとるのかは各社の腕の見せどころだろう。
アコーディアの上場について、PGGIHは「大変歓迎している。先に上場を果たした弊社としては、同業であるアコーディアゴルフの上場が、ゴルフ熱により活気を与えることになると思う。それは我々にとってもプラスになる」(広報)とコメント。
上場すると、公開される経営情報は飛躍的に増える。良い意味での両者の競合に期待しよう。
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