プロゴルフ界を揺るがしたPGA(日本プロゴルフ協会)事件が、さらなる泥沼に突入の気配だ。16日に10月の定例理事会を開催したPGAは、6月17日に有印私文書偽造、同行使の疑いで逮捕され、処分保留のまま7月に釈放されていた長田力前会長と船渡川育宏理事(現職)が不起訴になったことを発表。だが、8月に同理事に対して下した期限なしの会員資格一時停止解除を見送り、11月27日の理事会を経て、同日行われる代議員総会で最終決定を下すことを決めた。
2人の不起訴がPGAに伝えられたのは、船渡川を担当する宮内正広弁護士から。「『6日に不起訴となりました』と、13日に連絡があった」(森静雄副会長)ことから、連絡のない長田の不起訴も判明し、この日の理事会で今後の処遇が検討された。
だが、不起訴にもかかわらず「(資格停止処分)を解除しようという意見は出なかった」(松井功会長)と、二人の生殺しは少なくとも11月27日までは続くことになってしまった。
これについては「司法上は不起訴となったが、倫理上の問題として検討しなくてはならない」(同)と、事件の徹底的な解明を求めている。
これは、2人と一緒に逮捕され、容疑を認め、起訴され、公判中の石井秀夫前副会長(その後、威力業務妨害で再逮捕、現在拘留中)の有印私文書(神奈川地区理事会議事録)変造の現場に居合わせながら、これを止めなかったことに関してとがめているということ。
つまり「民事の問題」(松井会長)としてPGAの立場を明確にしようとしていることになる。
だが、資格の一時停止処分が決まる直前に理事辞任勧告を受けて、これを蹴った船渡川は「今は白黒ハッキリしていないから何も出来ない」と言いながらも、決着後には法廷闘争も辞さない構えを示していた。
この行動に対しては、PGA内部でも賛否両論があった。「フナ(船渡川)も、一度頭を下げればそれですむのに」と、一部理事が発言しているほどだ。
だが、なしのつぶての長田とは対照的に、船渡川は釈放された直後に、一度PGA事務局へ謝罪に訪れている。それだけに、停止処分解除がなされないことに首を傾げる関係者も少なくない。
PGAの理事は全国14地区がそれぞれ選出した代議員の中から選ばれる。
船渡川の地盤は所属する埼玉地区。資格一時停止処分となったときにも「埼玉で選ばれてるんだからその人たちがみんな『やめてくれ』っていうならオレも考えるよ」と発言していた。つまり、船渡川にとっての≪有権者≫は埼玉地区の会員たちとなる。
要は、PGA本体として船渡川を辞任させられる理由が薄くなった今、埼玉の会員たちが動けば、そちらから圧力をかけられるというわけだ。
そんな事情もあり、松井会長、森副会長の現執行部は19日に埼玉地区を訪れ、今後について代議員たちと話し合った。
「会長、副会長が行って今回の事件の背景を説明する」(松井会長)と、事態の打開に乗り出したが、周囲はトップ2揃っての行動に驚きを隠せない。
いったいなぜ。果たしてこれがどう出るか。
PGA理事会直後に、船渡川サイドを取材すると、「今はお話できません」(宮内弁護士)と、態度を明らかにしておらず、なしのつぶての長田に対する対応も含めて、まだまだ不透明なまま推移しそうなこの問題、今後の成り行きは予断を許さない。
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