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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 11/14号
2006/10/31更新
会員主体の株主会員制を目指したGC成田ハイツリー、
5年目の悲願達成

 高級会員制ゴルフ場で知られたGC成田ハイツリーが、この10月1日、名実ともに完全株主会員制への移行を達成した。 預託金債務だけならともかく、コース施設に金融機関が70億円もの担保を設定、普通ならスポンサーを探して売却されるケース。にもかかわらず完全株主会員制を実現出来たのは、いくつもの好条件が重なった賜と言える。


株主会員制になったGC成田ハイツリー

 GC成田ハイツリーの経営会社・(株)成田ハイツリーが、和議を申立てたのは今から8年前の平成10年6月。親会社・高木工業の会社更生手続き申立と同時だ。

 和議は1年1カ月で認可に至ったが、コース施設の名義は高木工業だったので、コースの命運は高木工業の更生計画次第。その上、農協系の千葉県信用農業組合連合会(以下、県信連)が70億円もの担保をつけていた。

 そこでとられた解決策が≪出世払い方式≫だった。まず(株)成田ハイツリーの全株式を、県信連の子会社である千葉中央サービスが、また、コース施設は同じく県信連の子会社であるメイプルヒルズが、それぞれ高木工業から取得。

 次に、一口250万円で、670名の会員から集めた総額約17億円を成田ハイツリーに出資。このときに使われた契約形態が『匿名組合方式』と呼ばれる方式。

 この『匿名組合方式』を一言で言えば、成田ハイツリーが、出資者と資金使途や配配当方法などについて個別に同一内容の契約をして、お金を預かる方式だ。出資者は議決権の付いた普通の株券を買うわけではない。

 この17億円で、成田ハイツリーがメイプルヒルズからコース施設を買いとったのが、今から5年前の平成13年。同時にこの匿名組合出資とは別に、会員が約3350万円を拠出して、千葉中央サービスから(株)成田ハイツリーの発行済み株式の約3分の一を取得した。

 残り3分の2の株券は、平成18年9月末までの5年間で、集まった出資金の総額で会員に売り、そうしてその時点で担保をはずす、というのを最後の仕上げとした。

 つまり、県信連は5年前に17億円をもらったところでほぼ矛を収め、残りは5年間で集まった金額でいいよ、という、言わば≪出生払い≫に応じたわけだ。

 この5年間で集まった出資金は総額約3億円。契約通り千葉中央サービスから、残りの(株)成田ハイツリー株式を会員が取得。施設の保有と運営両方を担う、(株)成田ハイツリーの株主が、100パーセント会員になった。

 この間、出資に応じた会員数は現在726名。726名が9割の預託金カットに応じた上に、総額20億円を金融機関に支払って、ゴルフ場を買いとったことになる。

 今売りに出されたら、一体いくらで落札されるのだろうかと思うが、5年前はまだまだ簡単にはスポンサーは見つからない時代。しかも債権者は大手銀行ではなく規模が小さい県信連。大手銀行であれば、5年前の時点で債権ごと外資に売られていただろう

 5年という長期間での出世払いに応じたのも、小さな金融機関だったからこそだろう。

 そしてもう一つの幸運が、会員組織の牽引役だった会員が、安定した企業の会社経営者で、社員に会社経営を任せておくことが出来、この問題にほぼ専念出来たことだ。

 完全株主会員制に移行したことを機に、新規募集を開始した。1次、2次、3次募集と合わせて計264名を予定しているが、今回の1次募集では「既に50名が決まっている」(田口義丸執行役員)といい、滑り出しは好調のようだ。

 次なる課題は経営の安定だろう。

 平成15年12月期、平成16年12月期は黒字を計上したが、前期は赤字。今期は新規募集分の入会金収入があるので黒字は間違いないが、

「さすがに経営に対する会員の目は厳しい。会員の期待に応えられる様努力していきたい」(田口執行役員)

 5年の歳月をかけて、せっかく苦労して勝ち取った会員の自治。経営手腕に期待しよう。 

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