今年の女子ツアーを振り返ると、20歳の諸見里しのぶや21歳の藤田幸希が初優勝するなど≪藍世代≫の活躍が目立つ中、次世代の勢いも際立っていた。エリエール女子オープンで、最終日最終組で首位スタートした16歳の藤本麻子(岡山・作陽高1年)のように、プロの試合で優勝争いを演じるジュニアたちが続々と登場している。
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豪州でプロを負かして優勝した森田
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藤本が今年ツアーに出場したのは5試合。エリエールの前週、伊藤園レディスでも19位と健闘。日本女子オープンも予選通過。中学で全国選手権を制し、日本ジュニアでは2位に入る実力者だ。
「エリエールでは、2日目にベストスコアの7アンダー、65で回り、最終日最終組という期待に応えたかったので、10位という結果は残念です。ただ、プロとアマの差を知ることができました。優勝したウェイ(・ユンジェ)さんのように最終日にスコアを伸ばせるのがプロ。絶対スコアを落とさない。バーディチャンスをものにするのがプロでした」(藤本)
藤本のほかにも17歳の金田久美子(クラーク国際高2年)が最終日最終組で優勝争い。ニチレイレディスで優勝した横峯さくらに追いすがったが、17番のダブルボギーで競り負けた。
スタンレーレディスでは、18歳の若林舞衣子(新潟・開志学園高3年)が最終日のフロント9で31とスコアを伸ばし首位に迫ったが、後半伸び悩み優勝を逃した。
「年間ベストアマ」というタイトルがあったなら、若林で決まりだろう。11試合に出場し、予選通過9回、トップ10入りが4回。アマチュアとして、得られない賞金を合計すると1400万円を超え、来季女子ツアーのシードラインを大きく上回る。
若林は昨年世界ジュニアで優勝し、今年は江連忠に師事し、江連門下生として、多くの経験を積んだことが、この成績につながった。
また、16歳の森田理香子(京都学園高2年)は、日本女子オープンで、大半のプロが苦しんだ茨城CCの難セッティングで3日目まで上位争いし、最終日は崩れたものの、13位でフィニッシュした。
森田は11月3日~5日に行われたオーストラリアPGA主催の「ハンダオーストラリアカップ」というプロの試合で、優勝している。
この試合はテリー・ゲール、吉川なよ子ら男女シニアプロとジュニアの計45名参加で行われた。どこも報道しなかったが、アマチュアとしてプロに勝つ快挙を達成したのだ。
アマ実績も申し分がなく、日本代表選手として出場した世界アマではベストスコアの65を記録し個人2位に輝いた。
17歳の上原美希(沖縄尚学学園高2年)は来季ツアーの出場権をかけたQTに挑戦し、セカンドQTを突破した。年齢が参加資格の18歳に満たなかったため、サードQT進出を辞退したが、堂々、プロと渡り合っている。
ほかにも、17歳の宮里美香(沖縄・興南高2年)はヨネックスレディスで5位入賞、18歳の櫻井有希(京都学園高3年)はNEC軽井沢で16位、16歳の竹村真琴(大阪・向洋台高1年)はスタジオアリス女子オープンで17位……、予選通過はもちろん上位で活躍するジュニアは後を絶たない。
さくらの父・良郎氏は「さくらと一緒に育っためだかクラブの17歳の横山恭子(鹿児島・尚志館高2年)も今年2度予選通過した。プロより強いジュニアは全国にまだいくらでもいる。マンデーからでもいいからもっとジュニアが試合に出る機会を増やしたら、ツアーも活性化されていいじゃないか。現に、若い子たちの活躍でツアーが盛り上がっているわけだからね」
宮里や横峯のように、当時から注目度の高かった選手は、ジュニアでも主催者推薦枠で本戦から数多く出場できたが、大半はマンデーと呼ばれる予選会で出場権を得てから本戦に臨むしかない。そのマンデーに出場する推薦枠を得るのも困難だ。
藤本の父・信吾氏も「最近マンデーの推薦をいただけるようになって娘も活躍する機会が得られました。もっとプロの試合で経験を積めたらいいんですが」
来年宮里は米ツアーに専念する意向を示し、日本ツアー人気は若手の双肩にかかっている。若手育成はもちろんのこと、ジュニアの活躍がその試合の盛り上がりに直結するだけに、もっとジュニアのツアー出場機会を与えたらどうだろうか。
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