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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 12/12号
2006/12/28更新
いまや芝は着色が常識。
オーバーシードに代わる青芝作戦

 案外知られていないが、太平洋クラブ御殿場コース、kochi黒潮CCなど、秋も深まってからのトーナメント開催コースで、フェアウェイが美しい緑なのは、実は≪着色≫である場合が多い。着色と聞くと一般にいいイメージはないが、ゴルフ場の着色はどうやら別らしいのだ。


12月中旬までトーナメントの色合いが味わえる太平洋クラブ御殿場コース

 着色というと、枯れた芝に人工着色料を吹き付けたというイメージを持ってしまいがちだ。そこから「着色料が水に溶けて地中に染み込み」、最終的に「環境破壊」といった言葉まで連想してしまう。

 かつての着色――といっても、当然ながら芝に害のある素材ではない――特にグリーンに施された着色は不自然に鮮やかな色で、しかもシューズやボールに色移りがあった。プレーが終わったときには、ズボンの裾や白いシューズが緑になっていたというゴルファーがよくいた。

 某グリーンキーパーによれば、「昔は青味が濃いグリーンになりました」という。着色剤の緑色は黄色と青色の成分からなっているのだが、昔はこのうち黄色の成分が分解しやすかった。そのため、日がたつにつれ青色が際立ち、不自然な緑色になったそうだ。

 しかし、現在の≪着色≫は「色を塗るというより、もともとの葉の色を生かし、枯れて退色するのを遅らせる薬剤を撒いていると考えてください」と説明するのは、先日、三井住友VISA太平洋マスターズが開催された太平洋クラブ御殿場コースの前グリーンキーパー・日比野忠行氏である。

 同大会は、国内ツアーを代表する美しく整備されたコースとして、ファンにもプレーヤーにも高い人気を誇っている。もちろん、フェアウェイの美しい緑もその重要な要素。何もしなければ冬枯れてしまうコーライ芝のフェアウェイを自然な緑に保つため、日比野氏たちは20年も前から着色の研究を重ねてきたそうだ。

「最初は着色剤選びから、撒く時期など、試行錯誤の連続でした。また、当時は今のような大型のスプレーヤー(散布機)もなく手撒きでしたから、大変でした」(日比野氏)

 同コースでは現在、芝の退色が始まる前の10月初旬から2度、肥料成分も混ぜ合わせた着色剤を撒いている。すると、12月中旬までトーナメント時の色合いが保たれるという。

 さらに、着色することで翌春の芝の芽吹きが早まる効果もあるそうだ。着色しなければ、フェアウェイが緑になるのは半月も遅れるという。濃い緑色が残る分、太陽熱を多く吸収し、春に地面が暖まるのが早まるからだ。

 同様に秋のトーナメント開催を機に、5年ほど前からフェアウェイの着色を行っている某コースのキーパーによれば、

「もともとはトーナメントでのテレビ映りを良くしようと始めたのですが、実際にやってみるとお客さんの評判がとてもいい」と語る。

 評判は、単に「緑がきれい」というだけではない。緑のフェアウェイは、ティショットの方向を決めやすくする。そのため、着色でプレーの進行が早くなったというゴルフ場関係者もいる。

 フェアウェイの着色は、単に見栄えが良くなるだけでなく、プレーヤーにも歓迎され、芝の発育にもいい。そのため今では多くのゴルフ場がこの着色を採用している。

 ゴルフ場専門誌『ゴルフ場セミナー』(弊社刊)が今年行ったアンケート調査によれば、回答があったゴルフ場のうち約67・4パーセントで着色を実施し、そのうちの約44・2パーセントがフェアウェイの着色をしているとのことだった。

 ちなみに、着色箇所で最も多いのはグリーンで、着色を行っていると回答したゴルフ場のうち、約87・4パーセント(重複回答)で行っていた。

 一方、かつてエバーグリーンといえば「ウインターオーバーシード(冬枯れしない芝の種を撒く)」という時代があったが、その割合は急速に減り、同調査では冬枯れのない寒冷地型芝の割合が多い東北・北海道を除くと、フェアウェイをオーバーシードしているコースはわずか3パーセントという調査結果が出た。今や冬でも緑のフェアウェイは≪着色≫が当たり前、主流になりつつあるようだ。

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