07年国内女子ツアーは、試合数維持も課題がいっぱいだ。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が、来季の日程発表を行った。新規は7月末のアクサレディースで、消滅は近未来通信クイーンズ。増減1試合づつで賞金加算大会は計36試合と、06年と同数になる。
開幕戦ダイキンオーキッドは、例年通り3月第1週で、ここから2試合、3週間のオープンウイークがあるが、4月以降、11月最終週まで試合がびっしり詰まっており歯抜け状態の男子ツアーとは大きな差がある。
賞金総額は1試合平均「約8000万円」(樋口久子会長)と、景気のいいことこの上ない発表だが、そうすんなりとはいかなかったのが本当のところだ。
新規トーナメントとして一部で大きく報道されたハワイでの大会が、日程表にはない。LPGA関係者がコースの下見にまで訪れており、日本女子ツアー初の海外開催へと盛り上がっていたが「根回しがうまくいっていなかった」(樋口会長)ために流れてしまった。
ハワイは米国。そこを舞台にするというのに、米女子ツアー側に対して何の挨拶もしていなかったため、相手が激怒。これを恐れて国内開催へと形式を変えて話が進みかけたが、スポンサーや一部関係者にうまみがないことから完全に消滅したというわけだ。
何とももったいない話だが、少し立場を変えて考えてみれば、すぐにピンと来る話。もし、米女子ツアーが日本ツアーになんの断りもなく、勝手に日本で試合を開催したら、やはり面白くないだろう。
つまりは縄張りを荒らすことになるのだから、よほどの根回しが必要だ。これをしなかったばっかりに、試合が1つ減ってしまったことになる。
だが、米国側も日本の縄張りを侵そうとしていたことが明らかになっている。05年7月の就任以来、強引な手法を貫いている新コミッショナー、キャロリン・ビベンス氏は、ツアー競技すべてにおいて高額の賞金額や、レベルの高いコースでのツアー開催を掲げている。
長年ツアーを支えてきていながら、これについていけずに撤退した大会もあることから、ツアー内部でも反乱が起きているが、とにかくこの方針を日本にも持ち込んだ。
米ツアーとして日本で開催され、日本ツアーも特別公認という形をとっているミズノ・クラシックを「開催コースが基準に合わない」と変更要求。その裏で日本側の代理店と組んで高額賞金の別トーナメントを画策していたことが、関係者の証言で明らかになっている。
どっちもどっちと言ってしまえばそれまでだが、せっかく男子同様女子も各国ツアーが集まって会議を行い、ロレックスランキングが軌道に乗ったばかり。お互いが自分のことばかり考えているようでは未来は暗い。
日程発表の席で樋口会長に米ツアーとの関係について尋ねると「これまでと同じですよ。全英女子オープンの時には日本の事情について話したりしましたし」と、笑顔でかわしたが、実は激昂しているという証言もあり、関係は予断を許さない。
唯一、消滅した近未来通信クイーンズに関しても「ニュースなどで自転車操業が報じられており、これに関連してこちらから断った。テレビ考査や信頼調査で大丈夫だと思っていたが、こういう結果になって残念」(小林洋子副会長)
「近未来通信とは連絡が取れていません。単年契約ですから申し込みがなければそれで終わり」(樋口会長)と言い切ったが、トーナメント開催はそのままスポンサーの宣伝につながる。過去にも似たような例があることから、審査の甘さが問われても仕方ない。
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