ゴルフ界の国際化はますます進み、いまやどの国のツアーにも外国人選手がたくさん出場している。国の壁はどんどん取り払われている中、日本ツアーは試合数減で、共催もなくなるなど、取り残された感は否めないが、選手たちは自力で生きる道を模索している。07年、選手たちはどこに活躍の場を求めたのか。その動向をまとめてみた。
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手嶋(右)は欧州ツアーに、田中は日本ツアーへリターン
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まずは米ツアー組。7年目のシーズンを迎えるエース、丸山茂樹は、07年も米ツアーに常駐。4勝目を目指す。「早いうちにシードが決まれば日本ツアーへも……」と、ホームツアー衰退の危機に、国内参戦の気配も見せている。
ただ、米ツアーの制度、スケジュールが07年から変わることもあり、終盤のビッグトーナメントに出られるようなら、日米どちらをとるか悩むことになりそうだ。
ルーキーとして米ツアーでプレーした丸山大輔も、賞金ランキング95位に入り、07年の出場権を獲得。2年目のシーズンに挑む。
また、米国在住のほうが日本在住より長くなった今田竜二も92位で3年目のプレーを決めている。
対照的に、5年間踏ん張った田中秀道は、賞金ランキング224位で、QTを受けることもなく失意の帰国。「できるだけ早くアメリカに戻れるようにしたい」(田中)というが、当面建て直しのために、07年は日本ツアーに出場を予定している。
細川和彦がQTに挑んだが、力及ばず112位で落選。新規参戦の日本人はいないことになる。
一方、欧州ツアーに挑戦するのは手嶋多一だ。誰にも言わずにひっそりとQTを受験。
「自分のボールじゃ米ツアーでは通用しない。ヨーロッパなら何とかやっていけるかな、と前から思っていた。一昨年もエントリーしたけど出場しなかった」と打ち明けている。
見事、17位でツアーカードを獲得し「出られる試合はみんな出る。スケジュールに関しては(所属先で欧州ツアーのサポートもしている)ミズノと打ち合わせて決めます。でも、春先はアジアとのジョイント(共催)が多いので5月くらいから本格的になるんじゃないかな」と話しており、活躍が期待される。
そのアジアに目を向ける選手も多かった。日本ツアーの最終QT上位選手が、アジアツアー最終QTに出場できることもあって、当初の希望者は10人を越えていた。
結局、6人がファイナルに参戦。5位タイの市原建彦、10位タイの清田太一郎、25位タイの桧垣繁正の3人が突破して、07年の出場権を獲得している。
米国、欧州とは違い、身近な戦いの場であるアジアを目指す選手が増えたのは、まぎれもなく国内ツアー衰退の余波だ。
07年は06年より5試合減の24試合しかトーナメントがなくなるため、皮肉にも上位選手の欠場が減る。つまり、QTからの出場の可能性も少なくなり、スポンサー推薦にもしわ寄せが来るとあって、海外に活路を見出す選手が増えたということだ。
国内ツアーの隆盛が、選手を≪井の中の蛙≫にしていた傾向があった日本ツアーだけに、ハングリーな状況においこまれた選手たちが、ようやく自分で動き出したようだ。
アジアツアーは欧州との共催も多いため出場の機会は限られるが、出られればビッグネームと同じ土俵に立てるチャンスも十分。これまでとは違う形の選手の出入りが、日本人ゴルファーを強く鍛えてくれればいいのだが。
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