SLEルールがリシャフトブームの追い風となるか。市場の拡大を期待してラインナップを充実させるシャフト専業メーカーに、クラブメーカーという思わぬライバルも台頭。リシャフト市場戦国時代の幕開けとなりそうな07年、加速する個人ユースシャフトを追った。
天下をとるのはフジクラか、グラファイトデザインか、それとも三菱レイヨンか。御三家はそれぞれ従来にないタイプの新製品を投入し、07商戦の陣容を整えた。
目にも鮮やかな黄色のカラーリングで登場し、いい意味で期待を裏切ってくれたのはフジクラ・ランバックスXシリーズだ。当然ながら中身も違う。
「スピーダーに特化したためフジクラは走るけど粘らないというイメージを持たれていたので、粘りの部分を感じてもらえるようにした。デザインもかなり意識的に変えた」(藤倉ゴム工業スポーツ用品事業部部長・高梨修一氏)ということで、新しいユーザー層の取り込みに期待をかけている。
これまで飛び以上に方向性を重視してきたツアーADだが、最新モデルは「弾いて飛ばす」と飛距離性能を前面に打ち出す。打てば分かるといわんばかりに、素材をアピールするライバルと一線を画してきたグラファイトデザインだが、クワトロテックはずばり4軸を意味するネーミング。
「シャフトで飛ばすという流れを受け、飛びを重視する方向に振りました」(グラファイトデザイン営業部長・木本裕二氏)
また、クワトロテックでは最初から50、60、70、80グラム台を揃え、さらに全長を47インチにして長尺対応とするなど、幅広いゴルファーに対応できるようにしており、プロだけでなくアマの世界もグラファイトデザインの「緑」が席巻するかもしれない。
三菱レイヨンは04年に「青」、05年に「赤」、そして今回の「白」でディアマナのシリーズが完成した。白マナことDタイプはもっともハードスペックだが、「青を使っていた人ならSフレックスを選べば十分使いこなせる」(エストリックス・長崎氏)ので、タイガーなどに憧れるゴルファーにはアピール度が高い。
ディアマナは3つのラインで、平均以上の力があるゴルファーをすべてカバーした。この後、それ以下の層をターゲットとする「バサラ」が登場すれば、OEMだけでなくリプレイスメーカーとしてのナンバーワンも現実味を帯びてくる。
3社の新製品は、カスタムオーダー品としてもクラブメーカーがこぞって採用している。
また、流行にとらわれずきちんとフィッティングしたいゴルファーを中心に、重量、フレックス、キックポイント別にきめ細かくラインナップされたマミヤOPのアクシブにも注目したい。
かたやクラブメーカーも攻勢の機をうかがっている。ホンマのアーマックやミズノのクワッドは、ともに女性用からトップアスリート向けまで専業メーカーの単一モデル以上にラインナップを充実させている。
直営店・提携店でのカスタムフィッティングや、ウェブ上でのカスタムオーダー(ミズノ)などクラブメーカーならではの強みを生かして、自社クラブユーザーのリシャフトニーズはすべて取り込む考え。
またダイワ精工のロッディオは最初から他社ユーザーをターゲットにしている。リシャフトが当たり前の時代だけに、個性重視のゴルファーに向けた、これらクラブメーカー製シャフトと、別メーカーヘッドの組み合わせも狙い目だ。
07年はヘッドだけでなく、シャフトからもますます目が離せない。
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