高反発クラブが使えなっても、飛距離が落ちるのは仕方がないと諦めてしまうゴルファーはほとんどいない。ゴルファーにとって飛距離はやっぱり最大の魅力。07年はヘッドやシャフトもさることながら、それ以外のパーツも飛ばしの重要なファクターになりそうだ。
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2色、ハイブリッド構造のシャプログリップと、イオミックXグローブ
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クラブ工房では片隅に追いやられていたグリップが、最近では目立つ場所にけっこうな面積を使って並べられるようになった。
少し前まではツアーベルベットやスイングライトが定番で、選択の余地はフルラバーかコード入りか、あとはサイズくらいしかなかったグリップだが、最近では樹脂系素材や1本のグリップの中で異素材を組み合わせたものなどさまざまタイプが登場している。
店頭で指名買いが多いのはマルチ素材タイプだ。デュアルデュロメーターDDMは、硬さの異なるラバーを2層に重ね、柔らかい感触としっかりした握り心地を両立した2ピースグリップ。同じゴルフプライド社のニューディケードMCCは、左手で握る部分がコード、右手部分がラバーのハイブリッドタイプだ。
また、同じくコードとラバーのハイブリッド構造を採用するシャプロ社デュアルコードCRは、柔らかいラバーを使うことでシャフトの手元のしなりを生かせるため飛距離アップの効果があるとしている。
さらにヨネックスでも、評判になったナノブイのマルチコンパウンドグリップを単品発売するなど、マルチ素材はちょっとしたブームになっている。人気の理由は、「機能面でいえば雨や汗にも滑りづらいこと。また、ボールが硬くなっているので柔らかい感触が求められているから」(京葉ゴルフ店長/高橋直樹氏)
ウィンやイオミックなどエラストマー系グリップがもてはやされる理由も同じだ。クラブメーカーに純正品として採用されるなど、ゴルファーも次第に柔らかグリップに慣れ、人気が高くなってきている。
グリッププレッシャーが小さくなることで速く振れるというのが新素材グリップの最大の売りだが、ゴルファーはデザインにも敏感に反応した。
「以前はまずコード入りかラバーかをお聞きしていましたが、最近は色ものがお好きかどうかをお聞きするところからフィッティングが始まります」というのは高橋店長。
面白いのは男女問わずピンクに人気が集まっていることだ。
「見た目にも柔らかい感じがするからでしょうか」と高橋店長は首をひねりながらも、「傷んでいないのに交換したり、あれこれ試すゴルファーは確実に増えている」とリシャフトならぬリグリップブームを歓迎している。
グリップ同様に選択肢が広がったのはグローブだ。フィット感で天然皮革を選ぶか、耐久性や雨天用に合成皮革や人工皮革を選ぶか、というのは一昔前の話。これからはグローブも「飛び」で選ぶ時代だ。
グリップと同一素材を採用したイオミックのXグローブ、内側に施した特殊加工でグローブと手の滑りを防ぐミズノのバイオロックプラス、水に濡れるほどグリップ力が増すブリヂストンのパラディーゾGLA710/710、キャスコのノンスリップレザーなど独自の素材や加工法でグリップ力を高めたグローブが続々と登場。
「全身で飛ばす」は某メーカーのキャッチフレーズだが、消耗品から高付加価値商品へと進化したグローブやグリップは、業界ではクラブの販売不振を少しでもカバーする商材としても期待をかけられている。
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