V・シンが優勝した今年のメルセデス・ベンツ選手権。昨年の優勝者だけがプレーできる米ツアー初戦だけに注目の試合だったが、話題をさらったのは、昨年7勝しているにもかかわらず、試合に出なかったタイガー・ウッズだった。
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夏には≪虎の子≫誕生。
タイガーとエリン夫人
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ビュイックと契約するウッズや、フォードと契約するP・ミケルソンにとっては、あえて出場する試合ではなかったのかもしれないが、特にウッズがこの試合をスキップしたのには理由があった。
というのも、昨年末の30日、31歳の誕生日を迎えたウッズは、今年の夏に子供が生まれ、父親になることを発表していたからだ。
「私は、いつも自分が父親になりたかった。私の父親とこの経験を共有できないのが残念だが、私たちにとって、こんなに幸せなことはないし、私の家族も本当に喜んでいる」(ウッズ)
そのために「私たちの人生にとって、非常に特別な時間を家族とともに過ごす」一方、「試合の準備が出来なかった」ために、今年は、メルセデスをスキップして、1月下旬のビュイック招待から試合に出てくるという予定を明かした。
つまり、1月1日に27歳になったエリン夫人と自分の誕生日祝いもあって、メルセデスには、試合出場の準備が出来なかったということだろう。また夫人が安定期に入るまで、可能な限り一緒にいようということらしい。
ウッズは、出産予定日や子供の性別については明らかにしていないが、予定日は7月頃ではないかと、噂されている。
記録で言えば、現在米ツアーでは6連勝中(中国、日本で2位となっている。アメリカでは後援試合のターゲットチャレンジを入れれば7連勝中)のウッズ、出るからには、連続優勝記録を伸ばしたいのだろうし、メジャーも2連勝中で、再度のタイガースラムも狙っているようなのだ。
だからこそ、満を持して、メルセデスには、出場しなかったということなのだろう。そして、このエリン夫人の出産で、二つの問題が取りざたされるようになっている。
かつて、ウッズが2003年末にエリン夫人と婚約する前、名手ジョニー・ミラーは「今のタイガーは、ゴルフのほか何も考えずに集中することが出来る。しかし、結婚をして、子供が出来れば、事情は変わり、彼のゴルフも変わって来るはず」などと結婚について語っていたが、第1子誕生で、家族思いの彼が、これまでのようなゴルフを続けることが出来るのか? というのが、第一の話題。
もう一つは、出産が、全英オープンや、あるいは全米プロに重なった場合に、ウッズは、試合に出場するのか? という問題だ。
昨年は、父親の病気と他界で、マスターズから全米オープンまで2カ月もあっさりツアーから遠ざかったウッズだけに、第1子誕生に立ち会うことも十分に考えられる。
99年のP・スチュアートが優勝した全米オープンでは、P・ミケルソンが、優勝争いをしていたにもかかわらず「初めての子供の誕生に立ち会えるのは、一生に一度だけ」ということで、自家用ジェットを近くの空港に待機させ、出産となったら、試合を棄権すると語っていた(幸い、長女のアマンダちゃんは、全米オープン最終日翌日の月曜日に生まれた)ことがあった。それと同じようなことがウッズにも起こりかねないというわけだ。
ウッズの公式ウエッブサイトの編集者マーク・ソルトウ氏によれば、「ウッズはマスターズで5度目のグリーンジャケット、メジャー3連勝を狙い、6月の全米オープンに向けて、調子のピークを迎えるように調整してゆくことになるだろう」としている。
ソルトウ氏もそれ以降の予定については語っていないが、それは、ウッズ自身も第1子誕生からその後にかけての予定を決めかねているからだろう。
第二黄金期に突入しているといわれるウッズだが、ミラーが語るように、転機が訪れるのは、今年の夏ということになるのかもしれない。
いずれにしても、メジャーだけでなく、夏以降のウッズのスケジュールに、トーナメント主催者達は、気が気ではないようだ。
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