自動車メーカーのリコール隠しにはじまって、マンション・ホテルの耐震強度偽装、賞味期限切れ材料を使用した食品、そしてテレビのやらせまで、企業によるコンプライアンス(法令順守)違反が新聞種にならない日はないが、ゴルフ業界でもテーラーメイドがアイアンのリコールを発表、こちらは素早い対応だったが、一体テーラーに何がおきたのか?
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カーボンシャフト仕様が問題ありのr7TP
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リコールの対象となっている製品は、昨年10月に発売された中上級者向け「r7TPアイアン」の「リアックスTP85」シャフト装着モデル。
同社の公式発表によると、当該製品の一部にシャフトチップ部(クラブヘッドと接合される部分)の表面処理の不具合品が混入していたことが判明し、ごく稀ながら使用中にクラブヘッドとシャフトのはずれを誘発する恐れがある。このため、同社では出荷済みの製品をすべて回収し点検・修理を行うとしている。
不具合品が見つかったのは1月下旬。新製品が発売されて3カ月後に実施される初期不良チェックのための抜き取り検査で、フジクラから納入された「リアックスTP85」シャフトの中に油脂の付着した製品が混入していることがわかった。
通常の検査、組み立ての行程で発見できなかったのは、この油脂が目には見えないためで、万が一に備えた検査体制が幸いにも役に立ったというわけだ。
原因についてはシャフトの生産から輸送までのどの段階で付着したのかを同社米国本社の開発部、日本の製造部門、フジクラの3者が共同で究明中だが、「出荷されたクラブに不具合品が混入している可能性を否定できないため、お客様の安全を最優先に考えて」(テーラーメイドゴルフ広報担当者)迅速にリコールの決定が下された。
また、リコールを周知徹底させるために、2月14日付で同社ホームページ上に告知するとともに、主要全国紙に告知広告を掲載。合わせてウェブ登録会員にも「お詫びとお願い」と題するメールを配信した。
上級者向けの「r7TPアイアン」の売れ筋は今回リコール対象になっていないスチールシャフト装着モデルで、カーボンの「リアックスTP85」モデルの出荷は290セットにとどまっている。
それにもかかわらず、多額の費用をかけてまで情報開示に踏み切った理由について同社では、「すべてのお客様に一刻も早く確実にお知らせすることが最優先。したがって費用がいくらかかるかも見積もっていません」と説明する。
今回の同社の対処方法について業界内では、「うちではお客様からのクレームはありませんが、不二家問題など企業の姿勢が問われている中で、どう対応するかが大事。テーラーメイドの対応は早かったと思います」(コトブキゴルフ北口店・稲垣憲氏)などかえって信用を上げたという見方が多いようだ。
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