暖冬の影響で、この春はサクラの開化が記録的な早咲きになりそうだ。先週、気象庁から発表された開花予想によれば、全国で最も早く咲くのは静岡で13日にもつぼみが開き始めるとか。同様に、ゴルフ場の芝の発育も記録的に早まっている。ゴルファーには嬉しいことだが、ふだんなら雪の下でひとシーズンを過ごしてきた積雪エリアのゴルフ場の芝にとって、雪がなかったことは影響がなかったのだろうか。
「例年は雪で覆われるので、グリーンの芝に付着するカビも、雪の下で死滅したり弱まるので、雪解けと同時に3~4回消毒すれば、何ら問題はないのですが……。今年はそのカビも元気でしょうから、いつもよりも慎重に見極めているところです」
と語るのは、新潟県のフォレストGCの馬場敏郎支配人。
馬場支配人によれば、例年であれば、コース管理は暦にあわせて、基本的な手順を踏むことになる。ところが今年はコース内のあらゆる自然が、さっさと元気に活動を始めたので従来のマニュアルどおりにはいかないという。
グリーンの病害虫、雑草の伸び、また「地中のミミズの動きも活発化したようなので、今後、悪さを働かないように注視しなければなりません」と、あらゆる面に目を光らせ、気の休まるヒマもないようだ。
また、冬季も営業したため、雪の下でゆっくり養生できなかった影響が現れるのではとの問いには、「それはありませんよ」(馬場支配人)とこちらはあっさり否定された。
同じく、普段なら積雪で長期クローズする鳥取CCも、「元気に越冬した害虫に注意するくらいで、特別悪い影響はありません」(コース管理担当者)という。
芝に詳しい東京グリーンのグリーンキーパー・石井浩貴氏(カレドニアンGC)も、「暖冬による基本的な影響は、雑草や病害虫の発生が早まること」だけで、暖冬といってもやはり冬は気温が下がるので、芝が決定的なダメージを受けることはないという。
ただし、「例年、根が新しく伸び出す時期にあわせて芝の更新作業(コアリング等)を行うのですが、今年はいつ根が伸び出すのか分からないので、毎日、地の中を慎重に観察しています」と語る。
兵庫県の某ゴルフ場支配人も「ベント芝に、早くも病気の兆候が見られたので、念のために研究所に送って、確認してもらっているところです」と、例年にない慎重な対応ぶりを明かしてくれた。
実はこの時期に芝の管理を失敗すると、芝に梅雨~真夏を乗り切る体力がつけられないという。昨年の夏は猛暑で全国的に芝がやられただけに、いつにない賑わいの裏で、気苦労が絶えないのがコース管理の担当者のようだ。
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