団塊の世代が定年を迎える2007年問題がすでに今年から始まっている。60歳という年代は一昔前と違ってまだまだ若く、仕事を持たない団塊の世代がこれから社会に溢れれば大きな社会問題が起こる。その最中、ゴルフ好きの団塊世代ゴルファーにとって嬉しい≪アルバイト≫が出現した。
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団塊ゴルファーをキャディとして受け入れた千刈CC
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キャディとして働いて報酬(8700円)をいただき、キャディ業務の後は研修を兼ねてプレーできるという、実益と趣味とを兼ねたゴルフ好きにはたまらないアルバイトだ。このシステムを導入したのは兵庫県の千刈カンツリー倶楽部だ。
「最近、キャディを希望するゴルファーが増えてきました。ところが当CCではキャディが自然減少したままですし、また経営母体が学校法人の関西学院ですからゴルフ部のキャディを土、日祝日は当てにできるのですがそれでも足りない。そこでこれから定年を迎える団塊の世代の皆さんに働いてもらえないかということを考えたのです」(同CC・和暮克彦常務理事)
その千刈CCから相談、依頼を受けて募集、派遣業務を担当してきたのが「HQクラブ」(神戸市)という会社だ。
「当社の本体はゴルフトーナメントの運営等を行っている(株)ザ・ヘッドクォーターズという会社ですが、昨年の9月から募集を開始したところ50名ほどの応募があり、面接を経て30名ほど登録してゴルフ場に派遣しました」(福本正人代表取締役)
応募者の年齢は35歳くらいから65歳くらいだったが、これからの団塊の世代を視野に入れて60歳以上も数多く登録。10回ほどのキャディ研修ラウンドを経た後で検定を受け、合格した者だけが晴れて一人でキャディ業務ができるライセンスが授与される。
現在、ライセンス所持者は9名。研修中が5名ほど。30名が登録されて派遣されたはずだが、半分ほどに減っている勘定となる。
「やはり脱落する方もいます。とくに会社で地位が高かった人ほどプライド等の問題でカベがありますね。それと意欲はあるのですが、行動が鈍いとか、キャディとして不向きな方もおられますので諦めていただいたケースもあります」(千刈CC・池戸秀行支配人)
ライセンスを取得した人に話を聞いた。
「こういう仕事をすればゴルフ仲間ができると思って応募しました。今はゴルフができるというより緑の空間で走り回れる爽快感に満足です」(尾崎賢造さん・61歳)
主婦もいる。
「今はキャディも業務の後のプレーも楽しんでます。お金だけでしたらやってませんでした。ゴルフができるというのが大きな魅力です」(幸田多美枝さん・64歳)
だが、この団塊の世代を睨んだこのシステムの今後はどうか。問題がないわけではない。
「日本ではキャディさんイコール女性。ところが定年を迎えて世に溢れるのは圧倒的に男性。その熟年の男性のキャディというものに対して日本のゴルファーは馴染みがありません。そのイメージギャップが払拭されていけばキャディ不足に悩むゴルフ場は潜在的に多いですから団塊の世代を受け入れるゴルフ場は増えていくと思います。
現在、三田カントリー27でも同じシステムを進行させてますし、今春から募集を再開します」(前出・HQクラブ福本氏)
この団塊の世代を受け入れるシステムが成功するかどうか、プレーヤーの意識改革も大きなカギを握っているようである。
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