先頃発表された米ゴルフウィーク誌のゴルフコースランキングが、衝撃を持って受け止められている。長年、不動のトップの座を守り続けたパインバレーCCが2位に、そして常にトップ3、悪くてもトップ5には入っていたオーガスタナショナルが10位に転落したからだ。
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荒ぶる自然を活かしたパインバレーが
2位に転落、今度はどう動く?
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ゴルフウィーク誌の年に1度発表されるコースランキングは、1960年以前に開場したクラッシックコースとそれ以降のモダンコースに分かれ、それぞれベスト100コースのランキングがリストアップされている。
この手のゴルフ場ランキングでは、2年に1度の米ゴルフダイジェスト誌やゴルフマガジン誌の評価の方が、格式が高いとされているが、ゴルフウィーク誌の410名いるといわれるゴルフコース評価員の一部は、他誌の評価にもかかわっていることから、今後発表される他のランキングにも影響を与えるのではないかと言われている。
ほとんどすべてのコースランキングで、不動の王座にいたパインバレーCC(ニュージャージー州)が2位に転落、代わってトップになったのはカリフォルニアのサイプレスポイントだ。
「パインバレーは樹木が育ち過ぎ、かつてのスケールが失われ、またそれによりホールがスタイミーになり過ぎているようです。今米国ではどの名門も樹木を伐採し、コースにかつてのスケールを取り戻している中、そういう動きのないパインバレーは保守的との批評があるようです。サイプレスポイントは7005ヤードと距離を伸ばしたこと、バンカーをオリジナルのスタイルに復元したことが評価されたのだと思います」と事情に詳しいゴルフ場コメンテーターのマサニシジマ氏は語る。
保守的という点では、オーガスタナショナルも同様で、両コースとも、女性メンバーがおらず、あるいは、女性の評価員あたりの印象が悪かった可能性がないわけではない。
が、基本的な評価の基準はコースも改造にあったようだ。オーガスタは3位から7つも順位を落として10位に大きく転落したが、その理由も、コース改造にあるようだ。
というのも、評価基準に「オリジナルデザインが損なわれていないか」という項目があり、一昨年の大改造を含めて、過去10年、改造を重ねたことで、いわば「クラッシックコース」の雰囲気が変わってしまったと見られているからだ。
これは、ランキングでモダンコースとクラッシックコースが、分かれて評価されているために、問題になるのかもしれない。
「オリジナルのデザイン、コース設計の考え方を生かして、用品の進歩や現代のプレーヤーに適応するように改造した」というのがオーガスタの言い分だが、ある意味では、マスターズのために、つまりプロの中でもエリートプレーヤーのために、改造されたオーガスタは、すでにクラッシックコースのカテゴリーに入れること自体無理があり、コースの評価員が楽しめないコースになりつつあるのかもしれない。
もっとも、アメリカの4大プライベートコースといわれる、パインバレー、オーガスタナショナル、サイプレスポイント、セミノール、これに今回、3位となったシネコックヒルズは、実質的にはメンバーの大半が重複しているという。
こうしたクラブのメンバーにとっては、実質的にはどこでもプレーが出来るので、多少の順位変動など、たいした問題ではないのかもしれない。
一方、一般のアマチュアプレーヤーにすれば、高嶺の花で、どこがトップであろうとも関係がない。
とはいえ、ベストコースが、東海岸から西海岸に移ったということは、やはりビックニュース。これから発表されるゴルフマガジン、8月に予定される米ゴルフダイジェストの発表に注目したい。
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