人気低迷にあえぐ男子ツアーが、再生に向けて動き出した。宮里藍効果で人気が沸騰し、新しいスターが次々に生まれる女子ツアーとは対照的に、スポンサー離れが続いていた同ツアー。さらに昨年のスコア改ざん事件がトドメを刺す形となって5試合が消滅し、今年は24試合となってしまった。
さすがにこれには危機感を感じたのか、オフに入ってマナー関連の規定を厳しくするなどの動きが活発化。
4月第2週のツアー開幕を前に総会を開き、更なる改革を実施。〈人間として魅力ある選手を育てるために〉と銘打って6つの取り組みを発表し、さらに人事異動も行って、遅まきながら動き出した。
人事の面では日本ゴルフツアー機構(JGTO)として島田幸作会長体制は変わらないものの、これまで競技、国際部門のシニアディレクターだった山中博史氏を理事に選出。さらに専務理事代行兼事務局長として内部でもイニシアティブを取る形を敷いた。
山中氏は元々、運営会社からの出向だったが、JGTOに籍を移してからは、4大メジャーすべての競技委員を務める人脈と語学力で、実質的にはツアーを引っ張っていた人物だ。
今回、さらに責任ある立場についたことで発言力を増し、プロゴルファー主導で偏りがちだったツアーに社会性を持たせることが期待されている。
6つの取り組みは≪1≫教育セミナーの実施≪2≫ルール・マナーを厳しく指導≪3≫ファンへの感謝の気持ち≪4≫主催者の満足度向上に努める≪5≫選手の技術力向上≪6≫社会貢献活動となっており、ファン、スポンサーあってのツアーという意識を改めて浸透させる意識が見て取れる。
≪1≫は、これまでの新メンバーだけでなく、現メンバーにも義務として受講させることで根本的に意識を変えさせるのが狙い。
≪2≫については、すでに発表され「中学生並み」と皮肉られたが厳しい罰則規定がある。これも「規定があれば注意もしやすい」(深堀圭一郎選手会長)と、選手側からの要望で作られた。
実力者やベテランなどで注意しにくい者もいるはずだが、山中氏は「みんなにきちんと適用します」と断言。
「選手会でそんな話は出ましたが、僕は誰とでも話します。それに、年代別に3人ずつ、全部で9人の副会長がいて、ベテランにはベテランの副会長が話してくれるようになっていますから」と、すでに対策はたてていることを強調しており、きちんと行われれば、ゴルファーとしてお手本になれるプロが増えるはずだ。
PGAからの独立以来8年目を迎え、初めて「男じゃないか。」というスローガンも制定。だが、結果的にマナー違反の選手がこれまで多かったことを認めた形となった今回の改革は賛否両論にさらされている。
反対意見は主に「世間に対して恥ずかしいのでは?」というものだが、それでも、現実を認めないことには先に進めない。勇気を持って恥をさらしつつ、改革する姿勢は、正に背水の陣。
今回、発表したことがすべて実現できれば、ようやくツアーがまともな方向に動き出すはずだが……。
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