数少なくなった東京都内の大型練習場。そのうちのひとつ、江戸川区にある「ロッテ葛西ゴルフ」の入場者数が、昨年初めて50万人の大台を突破した。背景には、同社の営業・マーケティング活動と同時に、ゴルフに関心を持つ新たな層が増えたことがあるようだ。
|
単純計算で1日1370人が入場したロッテ葛西ゴルフ
|
東京23区内では大型練習場はここ数年で次々と姿を消し、今や都心近くの大型練習場といえば、ロッテ葛西ゴルフが一番手である。
同練習場の規模は250ヤード、300打席。首都高湾岸線・葛西インターに近いというアクセスの良さに加え、駐車場も400台収容と広いため、最近は千葉・横浜からも利用客が増えつつある。
それにしても50万人とは、すごい賑わい。支配人の鈴木利和氏は、その一番の理由に「都内に練習場が少なくなったこと」を挙げる。
確かに、同練習場が昨年7月に実施したアンケート調査(有効回答数568人)によれば、来場者の居住地の内訳は地元の江戸川区(35.4パーセント)と江東区(13.2パーセント)の他、港区(9.5パーセント)、品川区(4.8パーセント)、千葉県浦安市(4.7パーセント)などと続き、商圏が広がっていることがわかる。
そして、増加した来場者の中には、これまで見られなかったタイプのゴルファーが増えたという。
「若い方が多くなりましたね。しかも、藍ちゃん効果でしょう、女性が目に見えて増えています。明らかな初心者、例えば男性がゴム草履、女性がハイヒールといった格好のカップルも1日10組くらいいました」
また、会社をリタイア、あるいはリタイア間近と思われるシニア層が奥さんを伴って、スウィング指南をする姿も多くなったという。
先のアンケートによれば、女性の割合は22.3パーセント。そして、男女全体の年齢別では、40代が31.6パーセントと最も多かったが、以下30代(30.1パーセント)、50代(21.3パーセント)、20代(10.2パーセント)となっている。
「でも、若い方に話を聞くと、ゴルフは練習場だけという人がとても多いんです。コースは敷居が高いというか、不安で予約できないようです。ですから、今はそうした彼らにコースデビューをさせ、ゴルフの本当の面白さを伝えてあげることも我々の使命と思って取り組んでいます」(鈴木支配人)
昨年からアパリゾート栃木の森GCなどと提携し、15分間隔でラウンドする「初心者ゆっくり回ろうデー」というコースデビュー企画を実施し、毎回20組、80人もの初心者を集めているそうだ。
他にも、施設の整った大型練習場に賑わいが戻りつつある傾向は他の大都市圏でも見られる。
名古屋では瀬戸市(320打席)と大府市(400打席)に、それぞれ400ヤードの大型練習場を経営する「ゴルフ倶楽部大樹」が、両練習場とも年間入場者数は50万人を超えているそうだが、さらに暖冬の今年は「前年比1万人以上増えた月もあるほどで、入場者数は6~7年前のピーク時に戻りつつあります」という。
そして、そのベースには、景況感の回復とともに、ゴルフに関心を向ける層が若者やシニアを中心に目立って増えたことがあるそうだ。
また、関西では豊中市の「つるやゴルフセンター神崎川(230ヤード、110打席)」が昨年から大幅に入場者を増やしている。
同センターによれば、親会社が代わって料金等の運営が変わったことが一番だが、充実したレンタルクラブが人気で、会社帰りに手ぶらで来場する会社員が増えているそうだ。大都市圏の練習場は顧客を増やしているが、ゴルフ市場全体の本格的景気回復はどうだろうか。
|