ゴルフファンの目が、マスターズに向いている中、ヨーロッパツアーで新星が誕生した。3月29日~4月1日に行われたポルトガルオープンで、なんと20歳のアマチュアプレーヤーが優勝したのだ。
1972年にヨーロッパツアーがスタートして、1145試合が開催されているが、アマチュアが優勝するのは史上初めて。パブロ・マーチン・ベナビデスという名のこの新星、20歳と346日というから、ほとんど21歳だが、プロを含めても、このポルトガルオープンの優勝者の中では最年少。
ヨーロッパツアーで、優勝したスペイン人の中でも、セべ・バレステロス(19歳121日)、セルヒオ・ガルシア(19歳175日)、ホセ・マリア・オラサバル(20歳217日)についで、4番目の若さなのだ。
ちなみにガルシアは、19歳と267日目にも優勝、2勝目をあげているが、ベナビデスより、若く優勝したスペイン人プロたちの錚々たる顔ぶれを見れば、このアマチュアプレーヤーが、スペインの列強に続くという意味でどれほど期待されているかが分かるだろう。
「以前にも勝つチャンスは、あった。そのときは足が震えてしまった。その点、今回はそれほどプレッシャーを感じることなくプレーが出来た」とベナビデスは語ったが、2003年のスペインオープンでは、最終日のスタート時点でトップだったものの、スコアを崩して、結局22位に。
このときに勝っていれば、史上初のアマ優勝ばかりでなく、史上最年少ということになっていたかも知れない。
もっとも、今回の勝利は、最終日、トップを2打差で追いかけての勝利で、その分、プレッシャーが少なかったといえるのかもしれない。
しかし、今回のベナビデスのプレーは、あくまで冷静だった。最終日の15番ホールで、ピンチがあったが、冷静に対処して、スコアを落とすことなく、優勝したのだ。
「あのショットは、非常に重要だった。でも、ラウンド中、何度もショットしていれば、良いこともある。自分に言い聞かせていたのは、あくまで目の前のショットに集中して、ベストを尽くすということ。良い事、悪いことを問わず、起きてしまったことに、関わって動揺していてはだめなんだ」と20歳のアマチュアとは思えないクールな一面を覗かせている。
米ツアーでは、1985年にS・バープランクがウェスタンオープンに、91年P・ミケルソンがノーザンテレコムにアマチュアとして優勝している。
このうちバープランクはオクラホマ州立大在学時に優勝したが、今回のベナビデスも同じオクラホマ州立大。奇しくも同じ大学の選手がプロを破っての優勝となった。
プロの実力が、アマチュアとは格段の差が付いているといわれる昨今、やはりこれは、快挙といっても間違いではないだろう。
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