今週開催(27~29日)の女子ツアー競技「カトキチクイーンズ」が公式発表によると≪諸般の事情により≫大会名称が「屋島クイーンズ」と変更されて行われることになった。ところが、この変更が正式に承認されたのは先週月曜(16日)、大会直前だったため現場は今も対応におおわらわの状態だ。
同様の名称変更は、昨年も男子ツアーの「アイフルカップ」が「ザ・ゴルフトーナメントin御前崎」という、なんとも妙な名称になった例がある。
主催者のアイフルによる悪質な取立てなどの違法行為が社会問題となり、4月に財務省から全店舗の営業停止命令が出されたのを受け、テレビCMを2カ月間自粛。そして、7月開催の同大会からもアイフルの名称が消された。
ただし、このときは自粛決定から3カ月の時間があったので、名称変更に伴う混乱も大きくなかった。ところが、今回は変更が正式に決まったのが、大会の前週である。
「13日に突然、もともとの主催者である加ト吉(冷凍食品大手)さんから変更の意向が伝えられました。そして、16日に急きょ日本女子プロゴルフ協会(LPGA)に申請し、承認されたわけですから、正式には翌17日から変更作業に入りました」(某運営関係者)
現場で運営にあたる代理店担当者に聞くと、「カトキチ」と書かれた看板や印刷物などは「できる限り作り直しをしています。それで、間に合わないものは、消したり、上から貼ったりすることになります」と語ったうえで、「今回は変更のタイミングが悪すぎますね」と本音を漏らした。
果たしてこの1週間余りで、どこまで「カトキチ」から「屋島」に変身できただろうか。
ところで、新名称「屋島クイーンズ」は、開催コースであり、新たな主催者となった「屋島カントリークラブ」の名を冠したものだが、同CCは加ト吉の子会社だ。
そこまでして加ト吉の名前を消さなければならなかった理由だが、先週末、大会会長名で発表された書面には≪諸般の事情≫としかない。
しかし本当のところは
先月25日に発覚した同社や子会社「加ト吉水産」を含めた複数企業による、「循環取引」をめぐる騒ぎが原因のようだ。
実際、大会事務局の担当者でもあった同社社長室長の内山藤章氏も「新聞で報道された不祥事のためです」と、遠まわしではあるが、原因が同騒動にあることを認めた(循環取引があったことを認めたわけではない。念のため)
循環取引は、伝票上だけで商品の転売を繰り返す不正な架空取引で、通常は売り上げの水増し目的に行われる。
同社は発覚直後に社内に調査委員会を設立。当初は同社が意図した循環取引はなく、事件に巻き込まれただけとコメントした。しかし17日時点では、「発表は翌週に延びると思います」(前出・内山氏)との返事である。
となれば、「カトキチクイーンズ」のまま大会が実施されれば、同社をアピールする華やかなイベントと同時に、不祥事の実態が明らかにされるわけで、今回の緊張措置はやむを得なかったのだろう。
一方、冠からみでは、男子トーナメントの世界でも動きがあった。7月開催の男子ツアーの「セガサミー・カップ」が今年から長嶋茂雄氏が大会名誉会長に就任し、「長嶋茂雄招待セガサミー・カップ」と名称変更されることが17日に発表された。こちらの変更作業は混乱なく進められるはずだ。
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