米LPGAのロレックス・ワールドランキングで、ついにロレーナ・オチョアが、ソレンスタムを抜いて、トップに立った。2001年から5年間続いた賞金女王の座も昨年は、オチョアに明け渡し、最後の牙城となっていたワールドランキングでも、2位に転落。いよいよ世代交代が本格化したということか。
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腰痛もあり、しばらく1位復活はありそうもない?
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確かに、ソレンスタムのワールドランク2位転落は予想されたことだった。3月末のナビスコ選手権では、1位のソレンスタムとオチョアの差が過去最小となり、話題となっていたし、4月中旬のギンオープンでは、オチョアが優勝すれば、逆転するとされていた。
何しろ、昨年6勝のオチョアは、今季も6戦して、トップ10に5回入るなど絶好調。しかも、このギンでは、ソレンスタムが、腰痛のために棄権、しばらく試合に出られそうもないと伝えられたことから、いずれ逆転は間違いないとされていたのだ。
しかしその一方、ワールドランキングで「トップになるのは、目標の一つ」としていたオチョアは、ギンでは、最終日フロント9で、リードしていたにもかかわらず、最後の6ホールでスコアを6つ落とすという大崩れ。
確かに、プレーのコンディションも最悪に近かったが、ワールドランキングのプレッシャーもあったようで、2年前の全米女子オープンの最終ホールで2度の池ポチャ等を思い出すにつれ、土壇場のプレッシャーに弱いという評判まで、聞こえてくる始末だった。
そのため、真の実力、真の女王は、まだまだソレンスタムで、2位転落は、つかの間の出来事で、すぐに復活するなどと囁かれてもいる。ただ、問題なのは36歳のソレンスタムが、そろそろ、引退後を考え始めていることだろう。
実は、今年ソレンスタムは、参戦試合数を減らして、メジャーを中心に全力投球をする心づもりでいるようなのだ。そして余った時間を何に使うのかというと、ビジネスの方に向けるということだ。
先の4月中旬には、フロリダのオーランド近郊にアニカス・アカデミー・オブ・ゴルフ&フィットネスをオープンさせ、さらには、ゴルフコースの設計、6月には、ミッシェル・ウィの復活参戦がほぼ決まったギン・トリビュートのホスト役になることも決まっている。
「ゴルフというゲームから、私は多くのものを与えられたが、今私は、それを返すことに集中できる地点に達したように思う」とかで、重病の子供たちを救うメイク・ア・ウィシュ基金に協力する一方、「自分のゴルフへの情熱を人々と共有したい」として、ゴルフアカデミーを開設したのだ。
このアカデミーは、本人は勿論、彼女の20年来のスウィングコーチであるヘンリ・レイス、6年来の付き合いとなるトレーニングコーチのカイ・フッサーを中心に、妹のシャーロッテ・ソレンスタムも教授陣に加え、少人数、高額のスクールになる模様だ。
何よりも、このアカデミーが重要なのは、彼女のマネジャーでもある、ボーイフレンドのマイク・マックジー氏が、ソレンスタムと立ち上げたANNIKAという会社の、最初のビジネスであることだ。
さらに、今後、様々なアニカブランドのビジネスを広く展開してゆく予定というから、今後ソレンスタムは、ますますサイドビジネスに忙しくなりそうだ。
この≪転進≫は、ソレンスタム自身がかつて、自分の子供が欲しいと語っていたことから、年齢的に考えても、そろそろ子づくりを考えているのかもしれない。
かつて、N・ファルドやG・ノーマンが、サイドビジネスに熱中し始めるのと反比例して、プレーヤーとしての情熱が衰えていったことを考えれば、あるいは、今回のワールドランキング2位転落は、アニカ時代の終焉として、一つの象徴的な出来事と将来認識されるようになるかもしれない。
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