一般ゴルファーには、あまり馴染みがない名前だが、自由民主党の中に「ゴルフ振興議員連盟」(会長・衛藤征士郎衆議院議員)という団体がある。この「ゴルフ振興議連」の活動歴は21年にわたるが、今年報道陣に公開された総会で決められた中身は何だったのか。
同連盟は昭和62年7月、鈴木善幸元首相を初代会長に創設され、中川秀直幹事長や高村正彦元外相、片山さつき氏、安倍首相の実弟岸信夫参議院議員ら75人が名を連ねる。
また、麻生太郎外相もメンバーの1人で、参加時に「業界だけでなく一般ゴルファーにも顔を向けたものでなくては」と、発足時にゴルフ産業振興議員連盟だった名称から「産業」の2文字をはずさせたという経緯がある。
21年に及ぶ活動の歴史の中で、今回報道陣に総会が公開され、その活動の一端を知ることができた。
総会は4月26日自民党本部で開かれ、日本ゴルフ協会(JGA)など関連16団体首脳も臨席、活発な議論が展開された。
議案としては、≪1≫ゴルフ場利用税撤廃実現への対策≪2≫ゴルフ場及び練習場の固定資産税適正課税に対する施策≪3≫国家公務員倫理規定の「ゴルフ」の3文字削除への対策≪4≫小中学校の体育正科にゴルフを組み入れること、ゴルフ普及の促進対策などについて協議した。
このうち決議されたのは二つ。≪2≫の『倫理規定』と≪4≫のゴルフ普及の促進対策だ。
倫理規定について衛藤会長は、「文明国にあるまじきこと。世界に例を見ない」とし、同連盟の幹事長である中曽根弘文参議院議員も「恥ずかしい文言。ぜひ削除すべきと」訴え決議案を採択したが、これは一般ゴルファーと直接の関わりは少ない。
もう一つ、ゴルフを小中学校の体育の正科に組み入れることも「ゴルフは自分でジャッジするもので、教育効果もあり人格形成にも役立つ」(中曽根氏)とし、合わせて採択されたこの決議案は、伊吹文明文部科学相に申し渡された。
これは、現在1千万人を超し、15年後には700万人に減少するといわれるゴルフファーの裾野を広げることを視野に置いている。
世は正に団塊世代の定年問題で騒がしいが、ことゴルフ界の懸念はこの10~15年後に来るゴルフ人口の先細りだ。これに対するため裾野拡大の重要さが叫ばれている。ゴルフを小中学校の正課に組み入れる決議は納得できる。
さらに、これについて衛藤会長は来年7月に北海道で開かれる先進国首脳会議(サミット)について熱っぽく語る。
「各国首脳に、9ホールでもいいからゴルフをするよう働きかけたい。世界のトップリーダーがコースに出れば、ゴルフの宣伝効果は大きい。そのためには何らかの提案をしたい」。ゴルフ人口拡大に向け、このことが追い風になることが期待される。
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