韓国の2006年のゴルフ場入場者数が2000万人を超えた。ゴルフ場数は約280コース、1コースあたりの年間入場者数は7万人強とパンク状態。いま、韓国が空前のゴルフブームに沸いている。日本国内の市場が伸び悩む中で、韓国に活路を求めるクラブメーカーも少なくないようだ。
あふれた需要の受け皿となっているのが中国、タイ、日本などのゴルフ場だ。日本でも、宮崎など有名観光地だけでなく、ごく普通のローカルなゴルフ場でも韓国からのゴルフツアー客を見かけるようになった。実際の韓国人ゴルファーのプレー者数は2000万人をかなり上回るはずだ。
プレー人口が増えれば、それにともなって用品の需要も増える。韓国のゴルフ用品市場はクラブ、ボール、アパレルを合わせて約2000億円といわれており、これは日本の市場規模の約半分にあたる。
ちなみに日本のゴルフ場のべ入場者数は年間9000万人弱(05年)と韓国の約4倍であることから考えて、韓国のゴルファー、一人ひとりの用品購買意欲は非常に高いといえる。
日本の国内市場が低迷しているだけに、クラブメーカーが好調な韓国市場に目を向けるのは当然の流れといえる。
韓国では、95年まで日本製品の輸入が規制されていたが、96年の「インポートバン(市場開放)」を機に、日本のクラブメーカーも続々と韓国市場に乗り出した。
急激な伸びに転じたのは03年で、その後は2桁ペースで順調な伸びを示し、直近の06年の韓国向けクラブの輸出は対前年比約115パーセントと右肩上がりの成長を続けている。
また、日本ゴルフ用品協会の発表によると、輸出クラブ全体の中で韓国向けの割合は63パーセントを占め、ダントツに多い。韓国では、日本のブランドが高級品としてもてはやされていることも、メーカーにとっては追い風となっている。
中には日本で売られるときよりも2割以上高額な値付けをされた商品もあり、それでも飛ぶように売れるとあってメーカーにとっては笑いが止まらないといったところもある。
そんな中、「コリアゴルフショー2007」(4月5日~8日)が4日間で約5万人の来場者を集め、ジャパンゴルフフェア(3日間で来場者数4万7190人)と肩を並べる規模で開催された。
日本からはブリヂストンが復帰したほか、中堅・地クラブメーカーのフォーティーン、三浦技研、カムイプロ、ロマロなどもブースを連ねた。また、フジクラ、グラファイトデザイン、マミヤオーピーも出展。
一方、韓国で人気の高いプロギアやヤマハ、SRIは出展を見送っている。同じ会場内で物販も行う韓国スタイルのショーは、プレミアブランドとしては出展しづらいという事情もあり、「その部分を一般販促費に回した方が得策」(ヤマハ海外販売グループマネージャー・一木康弘氏)
また、韓国と日本の商慣習の違いは、進出を図るメーカーにとって足かせとなる可能性もある。
中小のメーカーにとってはいかに信頼でき、力のある代理店とパートナーシップを組めるかがビジネスの成否を握っているといっていい。
インポートバン直後から韓国ビジネスを展開するヤマハは、昨年、韓国への輸出が前年対比約150パーセントと全体の伸び率を大きく上回る実績を残した。
「10年以上お付き合いのある販売代理店がマーケティングから広告宣伝までしっかりやってくれるお陰でブランドに対する認知が高まった」(前出・一木氏)
ちなみに同社の場合、日本国内での販売に対し、韓国の販売実績が3分の1強と大きな割合を占めている。今後、生き残りをかけたクラブメーカーの戦いの場は、日本から、韓国や新興市場の中国などアジアへと移っていくのかもしれない。
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