SLEルールが全面的に適用される2008年1月1日まで残り約半年、クラブメーカーはルール適合クラブへのシフトを完全に済ませているが、その一方で反発係数がルール上限を上回り、不適合クラブとされるケースが続いている。
昨年のヨネックス、ホンマ、今年に入ってからのナイキに続いて今度は世界最大手メーカーであるキャロウェイゴルフの『ビッグバーサ460 13HT』(ロフト13度)が、USGAのルール不適合クラブリストに掲載された。
同社では販売店などを通じて、購入者個々に対する告知を行い、希望者には交換に応ずる措置をとっているが、日本国内のユーザーには直接の影響はなく、同社の日本法人でも特別な対応は行っていない。
『ビッグバーサ460 13HT』には生産工場の異なる複数の「バージョン」があり、ルール上はそれぞれが別モデルの扱いとなっている。
不適合リストに掲載されているのは「バージョン2」のみで、日本で販売されているのは別のバージョン。
また、北米ではカタログ掲載モデルとして扱われている『13HT』は、日本ではカスタムオーダーでしか手に入らない商品だからだ。
ただ、日本のユーザーに直接関係ないとはいえ、複数の大手メーカーでリコールが続くと、やはり気になるもの。自分の使っているクラブは本当に大丈夫かという不安も生じてくる。
また、今回の『ビッグバーサ460』も『サイバースターナノブイ』(ヨネックス)のケースでも、最もロフトの大きいモデルが不適合となったことから、「製造工程上ロフト角の大きいクラブほど製品のばらつきが発生しやすいのではないか」、また「競技で使われる機会がないので意図的に反発係数を高くしているのではないか」という穿った見方さえ出てきている。果たして不具合は起こるべくして起こったのだろうか。
一般論と前置きした上で、「ヘッドスピードが低い人が使うロフトの大きいモデルはそれほど強度を必要としないので、ロフトが小さいものよりフェースを薄く作っている可能性はある」と話すのは、クラブ設計家・竹林隆光氏だ。
また、最近増えている中国製ヘッドの品質を疑う向きもあるが、「中国製が劣ると考えるのは偏見。いまやヘッドの95パーセント以上が中国で作られている時代。逆に日本で中国と同じ品質の製品を作ることの方が難しい」と、これについても竹林氏は明解に否定する。
真相は現在も調査中だが、いずれにしても今後、こうした違反クラブが出てこないことを願うばかりだ。
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