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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/12号
2007/5/31更新
ゴルフの特待生がプロを負かした。
高野連も特待生を見直したほうがいい!?

 15歳でプロツアーを制覇した石川遼の快挙は、他のスポーツで、高校生の問題が取り沙汰されている最中だっただけに、別の意味でも注目を浴びている。何かと比較されるのが、プロ野球西武ライオンズの裏金問題を発端にした「特待生問題」で、揺れる高校野球との違いだ。

 独自の倫理観を掲げて自分たちの姿勢を貫く高野連は、特待生制度の禁止という現実離れしたキレイ事を一度は貫こうとした。ところが、現実を全く把握していなかったため、想像以上の376校の抵触が判明。

 さらに少子化もあって特色を出そうと必死の私立高校から「特待生制度は私学の生命線」などと突き上げをくらい、すんなりとは収まりそうもないのが現状だ。

 在校生が西武から金銭供与を受けていたことで、一度は公式野球部解散という事態に追い込まれた専大北上校が、すぐに高野連再加盟を認められたこともあり、現状に即した形に規定が変わる可能性もありそうだ。

 この騒動の真っ只中、本誌は高野連に≪スポーツ特待生≫の優勝についての取材を再三、申請。だが、高校野球の世界が今後どうなるかについてすったもんだの会議と記者会見が連日続いたせいか、返事は得られずじまいのナシのつぶて。

 逆に、このことは改革を余儀なくされている現在の高野連の困惑と迷走を浮き彫りにしてしまった。

 ゴルフ界は、野球と違い、トップクラスのジュニアたちの大半が特待生だ。アマチュアだった高校3年の時、女子ツアーで優勝し、直後にプロ転向。女子プロブームのきっかけとなり、現在も牽引車として活躍する宮里藍も東北高校の特待生だった。

 同校は大魔人こと佐々木主浩、ダルビッシュ有を始めとするプロ野球選手、さらにトリノ五輪金メダリストの荒川静香など、多くのプロスポーツ選手を輩出しているが、特待生制度がなかったら、これほどの人材が集まったかどうか疑問が残る。

 世界最年少の15歳でプロツアー優勝を果たした石川遼も、杉並学院高校のスポーツ特待生だ。

 同校のスポーツ特待生は、ABCの3つのランクに分かれている。B、Cランクは、入学金か授業料の片方ずつが免除だが、石川遼は入学金、授業料ともに免除のA。

 三菱ダイヤモンドカップに参戦した現3年生の薗田峻輔、現在日大1年生の同校OB、宇佐美祐樹がいずれもAだ。

 それにしても、高野連の対応は極端な例としても、各種目で高校生たちが大人の想像を超えるスピードで伸びていくのに、大人がついていけない、というのが現状のようだ。

 だったら、大人は旧態依然とした固いアタマをせいぜい柔らかくして、子どもたちがきちんと育つ環境を作ることに専念するしかないがどうだろう。

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