優勝から1週間経ってもなお収まる気配のないほどの「石川遼効果」は男子ツアーの人気回復につながるのだろうか。プロの証言を集めてみた。巷ではプロのふがいなさを恥じる言葉もあったが、プロたちは、この熱気がプロ界の活性化になればという話が多かった。
公式戦の「日本プロ」と賞金総額で上回る「三菱ダイヤモンドカップ」に挟まれ「目立ちにくい存在」(関係者)だったマンシングウェアKSBカップが、ゴルフファンのみならず全国民から注目を浴びる格好となった。
同大会実行委員長の澤井正弘氏は、「歴史的結果により、大会名がアピールされ、大変光栄」と反響の大きさに驚きつつ、「女子ツアーが宮里藍選手の出現によって活性化したように、彼の出現で男子ゴルフ界も元気になるでしょう」と期待を込める。
最終日、同組で回った久保谷健一が,「飛ぶし、ショットもグリーンに乗るし、パターも上手い。小技が上手くなればいつでもプロでやっていける。転向しちゃった方がいいのでは」と実力を高く評価。
立山光広のように,「これで試合数も増えれば」とその先まで考える選手が出てきてもおかしくない。
ただ、当の本人は、「自分が通用すると思えるようになったら考えたい」とプロ入り宣言は保留している。
これに対してJGTOの島田幸作会長は、
「16歳で全英オープン4位になった英国のジャスティン・ローズもプロ転向後は予選落ちが続いた。一度勝っても次はわからない。このまま順調に育って、力をつけてから来て欲しい」
と本人の意思を尊重する考えだが、その一方で、
「一般紙の一面を飾り、スポーツニュースでもトップ扱い。藍ちゃん並みのPR効果はある。できれば権利のあるうちに決めてほしい」
と本音も漏らしている。
ただすぐにプロ入りしなくとも、石川遼効果は現れるという見方は多い。
「小さな波が、カンフル剤になって大きな波になる」(新井規矩雄)
「若手プロやジュニアが、自分たちにもできるという気持ちで頑張ってくれると期待している」(島田会長)
「同世代のジュニアの目の色が変わってくるはず。新しいプレーヤーがどんどん出てきて、いいプレーをしてくれればツアーも活性化するし、全体のレベルが上がればその中から飛び抜けた選手も出てくるはず。5年後、10年後が楽しみです」と話すのは選手会長の深堀圭一郎だ。
5年後、10年後というのは先の話すぎるきらいもないではないが、日本中の目が男子ツアーに注がれている今こそ、現役プロの頑張りどころだ。
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