女子ツアーでは、横峯さくらが廣済堂レディスのプロアマを体調不良で欠場しながら、コース入りして練習グリーンで練習するという事件が勃発。一方、男子ツアーからも「病気でもプロアマを休めないなんて」とグチをいう選手の声が聞こえてきた。一体どういうことなのか。プロツアー開催に欠かせないプロアマを巡り、男女両ツアーで騒動が起こっている。
プロアマを休んだ選手は、コースでの練習が禁止されているという規定違反にあたるとして、横峯さくらがツアーディレクターに注意を受けた。本誌発売の頃には日本女子プロゴルフ協会TPD委員会での裁定を受け、罰金が課される可能性が高い。
男子ツアーでは、ツアー規定23条「(前略)プロアマ大会に出場を求められた選手は、これに出場しなければならない。但し、ツアーディレクターおよび主催者が止むを得ない理由があると認めて出場義務を解除する選手については、この限りではない」とある。
これに対する違反は「当該トーナメントへの出場を禁止する(抜粋)」と、厳しいものになっている。
基本的にスポンサーに賞金を出してもらって開催するゴルフトーナメントでは、そのスポンサーがゲストを招いて行うプロアマは試合同様に重要なものだ。
そしてプロには、アマチュアと気持ちよくラウンドし、スポンサーに満足してもらう義務がある。
ところが、中には、これを軽視し、出場してもゲストにきちんと対応しなかったり、休んだりする者もいて、スポンサーの怒りを買っていたのも事実。そこで、今季、大改革を推し進めるツアーが厳しい姿勢でこれに当たった。
日本ゴルフツアー機構(JGTO)専務理事代行の山中博史氏はこう説明する。
「プロアマを含めて5日間がトーナメントだという考え方です。ですから、初日に当たるプロアマに出ないということは、本戦にも出られない。体調管理というのは選手本人の責任なので、病気やケガというのは止むを得ない事情に当たらない。
ただし、それぞれの事情もあるので、プロアマに出場できなくても、ツアーと主催者が認めた場合に限り、罰金30万円を払って本戦に出場できます。
罰金や制裁が目的ではなく、みんなでちゃんとしましょうということ。選手のイメージをあげて試合を増やすということで、選手のためなんです」。
まさにツアーの危機感が伝わってくる。
不満を漏らす選手たちとの間に温度差が生じているが、文句を言う前にトーナメントが行われる条件について、もっときちんと直面する必要があるのではないか。
もちろん、プロアマを欠場し、本戦にも出ない場合には罰金は生じない。選手の間では「体を壊したらどうするんだ」という声もある。
だが、一見厳しく見える≪新ルール≫よりも、むしろこれまで当たり前のことができていなかったというほうが驚きだ。義務を果たさずに賞金だけはもらいたい、といっても通らないだろう。
ところで、気になるのは止むを得ない事情と認められるケースだが「誰が見ても(状況を)コントロールできない場合。判断は現場のツアーディレクターが下します。考えられるケースとしては、身内の不幸や交通事故などですが、ほとんどの場合、試合にも出られないのではないでしょうか」(山中氏)。これほどプロアマを大切にしているということだ。
JGTOの厳しい姿勢は崖っぷちの危機感そのもの。これが末端まで行き渡って初めて、現状が打破できるのだが。
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