またもや米国で反発係数の問題でリコールされるクラブが出てきた。今度はキングコブラHS9F/STのロフト9度のドライバーが、高反発でルール不適合ということになった。今回も名前は明かされていないが、他のメーカーが告発して発覚したもので、メーカー各社の泥仕合のような様相を呈してきている。
ナイキのスモー2、キャロウェイのビッグバーサ460 13HTに続いて、市販されているクラブが、リコールされるのは、今年になって、これで3回目。
なにやら、メーカー各社が他社のあら探しに熱心になっているようで、あまり気持ちのいいものではない。
前回のキャロウエイ同様、日本では、並行輸入ものは除いて、ほとんど入ってきていないモデルなので、影響は少ないものと見られている。
「同モデルを持っているすべての顧客が影響を受けることになる。なぜなら、我々もどれが、不適合の可能性があるのか、そうでないのか、分からないからだ」とコブラ社の親会社であるアクシネット社の筆頭副社長が語っていたが、どうやら販売されたすべてのモデルが、違反というわけではないようなのだ。
USGAによれば、適合モデルのフェース面のヒール下の部分に、Cの文字が入っているのは適合クラブで、入っていないのが不適合という。
いずれにしても、反発係数の違いはわずかで、不適合となったキングコブラは、適合のものより「30センチほど遠くに飛ぶ程度」(USGAテクニカルディレクター、ディック・ラギー氏)の違いしかない。
各メーカーが、より性能を高めようとルールぎりぎりの線で、クラブを製作しているために、作る工場の違いや、製作過程のわずかな違いで、こうした不適合クラブが出てくるものと見られている。
これまでは、一度USGAのテストを受け、ルール適合とされれば、後はメーカーを信頼するのが、USGAやR&Aのスタンスだ。
例えば、ゴルフボールについても、飛距離制限があり、ルール適合の認定球リストが発表されている。
もちろん、実際のトーナメント会場で、ゴルフボールのテストを行うわけではなく、ボールに印刷されたネームのみで、認定ボールかそうでないかを判断する。
つまり、適合リストに載っているボール名が書かれていれば、現実には、中身が違っていても分からない。
かつて、グレッグ・ノーマンが、ルール適合の認定を受けたボールの試作品を使って試合に出たが、USGAに申請したボール名とその試作品に印刷された名前が異なっていたために、自ら試合失格を申し出たことがあった。
審判のいないスポーツであるゴルフは、あらゆる意味で信頼の上で成り立っているからだ。
そうした意味では、一度USGAなりR&Aが認定し、市販されたクラブが、いわゆる告げ口のような形で、調べ直されルール不適合となるというのは、小さな問題ではない。
しかし、USGAやR&Aが、こうした用品に制限を加えることの是非はともかく、一旦ルールとなった以上、メーカー各社も、もう少し品質管理に気をつけなくてはならないし、「チクリ」合戦にも、そろそろ終止符を打ってもよさそうな気がする。
反発係数のルールに関しては、来年1月1日より、完全適用されることになるが、自分のクラブが適合クラブかどうか、インターネット(www.usga.org)で分かるので、それまでに確認しておいてはどうだろう。
|