5月22日のミズノの決算発表をもって、ゴルフ用品メーカー各社の決算が出揃った。各社ともに増収・営業増益の好決算が目立つが、為替差益による底上げ効果も結構あったようだ。
まずは3月決算のミズノ。07年3月期は前期から6パーセント増収、営業利益は10パーセント以上の成長という好調ぶりだ。
その好調を支えた最大の≪功労者≫は、残念ながらゴルフ用品ではなく、ランニングシューズのウェーブシリーズ。日本、北米、欧州、アジアと、全地域で売れに売れた。
が、ゴルフ用品もまったく貢献しなかったというわけではない。日本では目立たなかったが、「北米では鍛造アイアンなど、高級品がトップアマや上級者の評価を得て伸びたし、最近ツアー開催の機会が増えた欧州でも、ドイツ、スウェーデン、フランスなどが業績を伸ばした」(ミズノ広報)という。
さらに、同社側の想定していた為替レート以上に、対ドル、対ユーロで円安が進行したため、決算上欧米の子会社を連結する際、円に換算した際に海外の業績が底上げされる効果も。数も出たけれど、為替の恩恵もあったというわけだ。
08年3月期も北米や欧州は前期同様、引き続き好調に推移すると同社では見ているが、北京五輪を控えた中国にもかなりの期待がかかる。
既に中国国内に790店の販売店を抱え、来年いっぱいくらいをメドに、1200店に増やす。ただし、その品揃えは大半がランニングシューズなどが中心で、ゴルフ用品は沿岸部の一部のショップに置かれているだけ。
今春、北京にメンテナンスやオーダーメイド品の注文も受ける、ゴルフ用品のワンストップショップをオープン。
「まだまだ中国は扱い高が小さいだけに、伸びしろは大きいと考えている。この店は広告塔的な位置づけで、増え始めている富裕層などを対象に、ゴルフ用品の認知度を高めていきたい」(ミズノ広報)という。
為替の恩恵を受けたという点ではデサントも同じだ。デサントの07年3月期決算は、対前期比7パーセント増収に6.5パーセント営業増益。
日本国内もまずまずの出来だったが、大きく伸びたのは韓国。デサントはルコックスポルティフ、マンシングウェア、ランバンスポールなどのブランドをを持っており、ルコックは国内、海外ともに大きく伸びたようだが、韓国で大きく貢献したのはマンシングウェア。
韓国も出荷はドル建てなので、デサントもまた「数も出たけれど為替の恩恵もあった」(デサント広報)という。
デサントは08年3月期もアジアに大きな期待を寄せているが、これまでも手薄だった北米は、「中長期の課題」(同)だという。
昨年ゼクシオが爆発的にヒットしたSRIスポーツは12月決算なので、先頃発表されたのは第一四半期の実績。
さすがに前期のゼクシオのヒットが大きすぎただけに、前期比では減収減益だが、北米はスリクソンなどボール中心に、欧州はボールに加えてクラブも順調に推移しているという。
「年初にスウェーデンのヘンリック・ステンソンと用品使用契約を締結したりといったプロモーション活動の効果もスリクソンブランドの認知度向上に貢献しているのでは」(SRIスポーツ広報)
今後の各社の成長のカギを握るのはアジアと欧州市場と見て間違いなさそうだ。
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