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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 6/19号
2007/6/7更新
ボール泥棒逮捕で判明した
いまどきロストボールの人気度

 どうせなくすのならロストボールで十分!? 安定した需要に目をつけ、15年もの間、ゴルフ場の池に潜りロストボールを盗んでは、ショップに卸して生計を立てていた男が窃盗罪の疑いで岐阜県警に逮捕された。犯人逮捕で判明したロストボールをとりまく事情に迫った。


意外!? ロストボールの人気は高い

 捕まったのは愛知県豊田市の男(62歳)。去る4月27日午前3時頃、岐阜国際カントリークラブ(岐阜県)近くの山道に他県ナンバーの不審な車が止まっているのを警備中のパトカーが発見、その場で張り込みを続けたところ男が現れ、職務質問に対して男が犯行を認めたためあえなく御用となった。

 男はこのとき、1376個のボールを池から拾い上げ、台車で車に運び入れるところだった。その後の警察の調べで、男の自宅からは業務用のボール洗浄機や小売り用の6個入り袋が大量に見つかった。

 また、男は名古屋市内のゴルフショップ数店に定期的にロストボールを卸していたが、その際、○○商会という屋号を名乗り、きちんと伝票も発行していたため、ショップ側はまったく盗品とは疑っていなかったようだ。

 供述によると、愛知、岐阜、長野、静岡など近県のゴルフ場をまたにかけ、毎月20万から30万円、15年間で数千万円もの利益をあげていた。

 これだけ犯行を繰り返してしていながら15年間もつかまらなかったのは、男が盗みに入ったゴルフ場から被害届は一件も出ていなかったからだ。

「池の中の見えないボールまで数えているわけではないので盗られていてもわからない」(岐阜国際CC)

 また、別のゴルフ場関係者は、「何年かに1回アルバイトを雇ってロストボールを回収するが、ただで持っていってくれるならむしろありがたい」と侵入者を黙認するケースもあるようだ。

 それにもかかわらず今回の逮捕につながったのは、男があまりに商売熱心だったため。4月27日といえばゴルフショップにとって連休前のかき入れ時、この日の犯行は大量の注文を捌くためだった。

 男は警察の取り調べに対し、「商売は信用第一。納期に遅れたことはない」とうそぶいているそうだが、律儀な性格が災いしてしまったようだ。

 今回の事件に限らず、ロストボールの窃盗事件が後を絶たないのは、需要に対して慢性的に供給が不足している背景がある。

「新品で人気があり程度の良いボールは並べるそばから売れてしまう。ここ数年はとくに品薄状態が続いている。ゴルフに使える小遣いが減らされ、1個500~700円もする新品に手を出せなくなったゴルファーが多いのでは。初心者は安売りのボール、ある程度上達した人は高級品のロストボールを選ぶ傾向がある」(中古ショップオーナー)とか。

 また、ゴルフ場の経営難を理由に挙げるロストボール専門業者もある。

「経費節減のため、コースで回収したロストボールを練習場で再利用するゴルフ場が増え、市場に出回る量が減っているのは確か」(東邦トレーディング・須藤広通社長)

 いずれにせよ、新品が売れなければロストボールも発生しないわけで、品不足はしばらく解消されそうにない。

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