会員本位の運営コースとして知られる清川CC(神奈川県)で、5月17日の会員総会で動議が出され、そこで理事全員が入れ替わる事態が起きた。会員が一致団結、ローンスターグループとのスポンサー争奪戦で勝利を収め、会員自治を獲得してから4年。一体何が起きたのか。
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年会費の値上げが発端で理事全とっかえがあった清川CC
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今回の理事交代の原因は、旧理事会が進めていた年会費の値上げ問題にある。旧理事会は昨年11月の理事会で3万円から6万円への引き上げを決定、昨年12月12日付けで会員に通知した。
が、「極めて重大な事項であるにもかかわらず、事前に会員にアンケートをとるなり、説明会を開くなりといったことが一切なく、突然決めて突然通知が来た」(新理事長の菅克久氏)として一部会員が反発。
しかも今回は理事の改選時期と微妙に重なった。清川CCでは理事は事前にマニフェストを公表した上で、選挙で選出され、会員総会で承認を得て就任するルールになっている。
今回は立候補者数が定員を下回り、選挙なしで全員当選が決定した。従って、会員総会で選任された新理事は立候補をしていない。つまり、正規の手続きを経ていないことになる。
「立候補の締め切りが昨年12月15日で、年会費の値上げを知ったときには締め切りを過ぎていた。マニフェストにも年会費値上げについては盛り込まれていなかったので、再選挙を求めたが拒否された。そこで会員総会に向け、年会費値上げの件も含めたマニフェストを作り、3年前に発行された会員名簿を頼りに、会員に我々への賛同を求める手紙を送った」(菅氏)
今回の総会で退任した青柳征二前理事長は、「年会費の値上げは、清川が今後安定した経営を維持していくために必要だと考えて決めた。我々の思いが伝わらず残念」だという。
これに対し、菅氏は
「前理事が、極めて真面目に、賢明に経営のことを考えていたことは我々も認めている。だた、値上げがやむを得ないということを納得出来るような説明を、事後ではなく事前に、例えば値上げを決めてしまう前の、昨年10月にでも受けてさえいれば、今回のような行動は起こさずに済んだ」
と反論する。
中間法人に会員が出資する清川CCでは、会員はみな平等だ。会員自治を貫く上では、スピード感を捨てても、会員に同意を求めるプロセスが必要になる。時には経済合理性よりも説明プロセスを優先しなければならないこともあるだろう。
今回の事態は、経済合理性を優先した旧理事が、プロセスにおける正論を展開した新理事に敗退したことを意味する。
新理事は今回は手続の進め方を問題にしただけだ。新たな経営体制下で経営を検証した結果、回り道をして結局は値上げは必要という結論に至る可能性も否定出来ない。
そうなれば、新たな反発を招きかねない。その時にこそ、新理事には高い説明能力が求められる。理事交代の真価が問われるのはこれからだ。
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