大会史上初となる地上波によるTV中継が行われるなど、今年の日本アマチュア選手権(7月3日~7日、愛知CC)は、ハニカミ王子フィーバーが頂点に達しそうな気配だが、それに先立って石川遼が埼玉オープン(6月25、26日、嵐山CC)に出場することが一部スポーツ新聞に報じられ、主催者は急遽ギャラリー対策、マスコミ対応に追われることになった。
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遼くんの知らないところで関係者ばかりが大慌て……
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埼玉オープンは、埼玉県プロゴルフ会が県内のプロの研修を目的に開催してきたローカル大会。
運営も賞金など経費集めも「会員の人海戦術でやってきました」(同会副会長の船渡川育宏)と手作りのプロ大会だが、年に10回ほど行っている同会の研修会にはジュニア育成の目的で中・高校生も参加しており、そうした縁で石川遼をはじめ県内のジュニアも多数エントリーしている。
例年はギャラリーといっても、せいぜい30人程度。しかし、前回の関東アマと同様、遼くん効果で大混乱が予想される事態になってしまった。
当初、遼くんの参加は関係者の間では丸秘扱いされていたものの、スポーツ紙にスクープされてからは、公開、非公開を巡って相当議論があったらしい。
結局「トーナメントはプロたちの研修だけが目的ではなく、公開することでゴルフに関心を持ってもらう機会になるはず」という開催コースなどの意見が採用され、急遽ギャラリーと報道陣受け入れの準備に追われることに。
ギャラリー整理のためのロープの長さは、コース全長のほぼ3倍で約24キロ。それを張る鉄杭は1600本が必要だという。
「普通は70万円から100万円近い費用が必要ですが、何とか杭は無料で調達することができました。ギャラリー駐車場は05年の日本シニアオープンのときにお願いしたところを4箇所、これも無料で提供していただけました。会員や近隣の方々のボランティアが約50人、やはりシニアオープンのときに協力してくださった方々です」(嵐山CC塩原明支配人)
ちなみロープは県プロ会が数万円で新たに購入したが、鉄杭は買えば1本1700円もするという。
こうした≪緊急事態≫にも何とか対応できたのも、84年に開催された日本オープンはともかくとして、2年前の日本シニアオープン開催の経験がノウハウとしてあったからだろう。
日本プロゴルフ協会の埼玉地区代議員の平野浩作は、当初は選手としてスタート表に名前が載っていたが、長年PGAのトーナメントディレクターを務めていた経験を買われ、出場を辞退してディレクターに専念することになった。
「昨年は10位以内に入っていたので、私も選手として出るつもりだったのですが、まわりから『ディレクターができるのはお前だけ』と言われて、引き受けることになりました」(平野)
こうした無料奉仕があっても何かと出費がかさみ同プロ会の赤字は必至とのことで、当日はギャラリー受付に募金箱を設置してマスコミ関係を含め≪寸志≫を募るという。王子に夢を託した人々の善意に期待したい。
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