二度のメジャー優勝経験を持つジョン・デーリー、その爆発的な飛距離と独特のキャラクターでファンも多く、契約メーカーのブランドキャラクターとして、テレビCM出演や、ボールの開発に参画するなど活躍している。しかし、一方ではデーリーの奔放な生活にまつわる騒動も多く、ゴルフ業界の頭痛の種にもなっているようだ。
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お騒がせデーリーの人気はいつまで続く?
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1991年の全米プロ、1995年の全英オープンと二度のメジャー優勝という輝かしい記録を持つジョン・デーリー(41歳)だが、その一方では、アルコール中毒で二度のリハビリ体験、ホテルの部屋破壊などの常軌を逸した行動、DV(家庭内暴力)による三度の離婚など悪評も高い。
今年はツアーでの成績も振るわず、トップ25に入ったのは1回、予選を通過したのも3回だけで、他に途中棄権も3回と散々だ。
そんなデーリーでも、その破滅的なキャラクター、ギャンブルのようなプレースタイルを好むファンも多く、契約するメーカー、テーラーメイド・アディダス社も、普及ブランドに位置づけたマックスフライの宣伝や商品開発にその人気を利用している。
しかし、この4月、デーリーが出演するマックスフライCMの、何かを飲みながらゴルフカートを運転する広告表現が、「飲酒運転をイメージさせる」として、大手テレビ局CBSから同局審査基準に合わないと放映拒否され、またゴルフチャンネルからも放映時間帯を深夜に限定されるなどの処置を受け、CMを取り下げる事件も起きている。
一方で翌5月、テーラーメイドは、デーリーが製品開発に参画したというマックスフライブランドの新ディスタンス系ボール「ツアーファイヤー」の米国市場発売を発表しており、「デーリーがツアー使用に耐えるボールの設計に開発当初から参加してくれた」(同社マックスフライボール開発担当役員)と話している。
このように、ゴルフ界に多くのファンを抱えながらも、その奔放な生活態度から、功罪をまき散らすデーリーにまた新たなスキャンダルが発生した。
全米オープンの前週、スポンサー招待で出場したPGAツアー、セントジュード選手権の2日目、初日はトリプルボギーの後5連続バーディーを取るなど、彼らしい派手なプレーで8位タイに付けていたデーリーが、左頬に生傷を付けて登場したのだ。
彼の話によるその理由は、前夜遅く、現在の妻、シェリー夫人と痴話喧嘩になり、同夫人にステーキナイフで襲われた結果、朝6時に地元警察を呼ぶ騒ぎとなったとのこと。
警官が駆けつけたとき、既にシェリー夫人と2人の息子はそこにはおらず、彼女が使ったというナイフも発見できなかった。
その後、「トーナメント中、当局とツアー側に身の安全を守って貰った」とデーリーは話しているが、特にその時点での告訴はなされなかった模様だ。セントジュードでの成績は、結局79位と冴えない結果となっている。
シェリー夫人とデーリーは2001年のセントジュードクラシックで出会い、その1カ月半後に結婚しているが、シェリーと彼女の両親は、以前、麻薬売買、不法賭博の罪で起訴されており、夫人本人にも服役歴があるなど、アウトロー一家だったことが知られている。デーリー夫妻は現在離婚申請中となっているそうだ。
新聞記事によると、刃傷事件後、姿をくらましていたシェリー夫人が最近現れて「ナイフを振り回したのは、泥酔した夫に暴力を振るわれそうになったため」と、デーリーに不利な証言をしているとの話も伝わっている。
未だに自書のタイトル「My Life In & Out of the Rough(ラフの出入り人生)」を繰り返すお騒がせデーリー。ゴルファーに人気は高いとはいえ、今後果たしてどこまでゴルフ界でその価値を認めて貰えるのだろうか。
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