6月7日、民事再生手続き中の総武CCの会員有志が、会社更生手続の開始を申し立てた。PG(パシフィックゴルフ)グループをスポンサーとする会社側の民事再生手続きに対抗した最大の原因は、やはり根強い外資アレルギーのようだ。
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民事再生か、会社更生かでゆれる総武CC(総武コース)
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総武CCとスプリングフィルズGCを経営する総武都市開発㈱が、民事再生手続きの開始を申し立てたのは今年4月3日。 総武CCの民事再生は、あらかじめPGグループをスポンサーに内定して申し立てる、いわゆるプレパッケージ型だが、これが一部会員の反発を招いた。
「まずスポンサー選定で入札が実施されていない。2点目として、PGグループがスポンサーだとパブリック化を招く恐れがある。3点目が申立段階での会員への説明不足」(会員側申立代理人の三村藤明弁護士)。
総武CCとスプリングフィルズGCのコース施設には、三井住友銀行の約80億円の担保権が設定されていたが、この担保権の譲渡先が実質的なスポンサーとなるよう、会社側では複数の候補先からPGグループを選んでいる。この際に入札を実施していないというのが会員側の主張。
また、総武都市開発は、姉妹コースながら別経営の中山CCの株式を持っていたが、申立前に中山CCに債権放棄をしてもらう際に同時に処分している。グアムのコースも売却済みだが、これら申立前の資産処分の経過説明がない、というわけだ。
4月に行われた会員向け説明会の案内状が届いたのが、説明会開催日の直前もしくは後だったりで、説明会に出席できなかった会員が多数いたことも、会社側への不信感を呼んだようだ。
そして最も会員側が懸念しているのが、コースのパブリック化。「総武CCの会員に限らず、一般にゴルファーの頭には、外資系のコースはビジターを積極的に入れるからパブリック化するというイメージが刷り込まれている。実際にそのために再建後も外資系コースの会員権価格は低迷を続けているものが多い」(都内の会員権業者)。
これに対し、会社側代理人の船橋茂紀弁護士は次のように反論する。
「形式としては、入札手続は使わなかったが、候補各社から個別に条件を聞き取り、その上で最も会員保護に理解があって、なおかつ高い価格を提示したPGグループを選んだので、公正さには自信を持っている。PGグループは総武を高級コースとして扱い、共通利用が可能なP-CAPのコースには入れないことも約束している。
中山CCの株券については、平成14年以降銀行に担保として押さえられていて、担保権を実行されてしまった。申立前に処分した資産は現金の形で、配当原資として会社に確保してある。申立段階では、まだ条件面で詰め切れていないことがあったので、逐一説明することは出来なかったが、7月7、8日に開催する説明会では全て明らかにする」。
PGグループの条件はかなりの好条件だったようで、6月21日に会社側から提出された再生計画案では、退会会員への返済率は実に21パーセント(計画認可確定から3カ月以内に一括払い)。継続会員は10年据え置き後退会時払いながら、こちらも23パーセントという高率。
「会員が根強い不信感を持っているPGグループでなくても、既に我々のもとには名だたる品格ある老舗の上場会社がいくつもスポンサー候補として名乗りを上げている」(三村弁護士)。
更生手続で行くのか、民事再生で行くのか。裁判所の判断は8月中旬となる模様。どういう展開になるか、動向に注目しよう。
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