ゴルフ場へのアクセスにヘリコプター--。バブル崩壊とともに消滅したかと思いきや、実は今もなお底堅い需要を維持している。一体どういう人たちが使っているのだろうか。
東証一部上場のアセット・マネジャーズが買収、昨年7月にリニューアルオープンした伊豆湯ヶ島倶楽部G&R(静岡県)では、昨年秋からヘリコプターでの送迎付きプランを設けている。
「我々が買収する以前からヘリポートがあり、送迎サービスも需要もあったが、プランを立てるなどきちんと運営されていなかった」(同倶楽部)。
経営が混乱する中、それどころではなかったのだろう。
車を使えば都内から2~3時間はかかるが、時速180キロほどで飛ぶので、新木場のヘリポートからの所要時間は40分たらず。
プレーとのセットプランで、一組4人で日帰りなら往復送迎料、プレーフィ、昼食代込みで1人8万円。4人で32万円だ。
宿泊になると、「パイロットの他に整備士も同乗させなければならない」(運行を受託しているアカギヘリコプター)ので、2人分の宿泊費が上乗せになる。
決してお安くはないが、利用者は「企業の役員クラスが中心で、新興企業、大企業、個人企業など実に様々。
法人利用も個人利用もあり、年齢層も幅広い。
利用目的も友人同士のプライベートなものから、接待に至るまで様々。
ただ、利用者に共通するのは“時間が貴重な人”という点」(同倶楽部)だという。
週末に1日に7~8機のヘリが来るのは、茨城県のイーグルポイントGC。
東証一部上場の人材派遣会社・フルキャストの平野岳史代表や漫画家の本宮ひろ志氏ら個人10人が、平成17年に共同出資でタクシー会社・国際自動車から買収したコースだ。
新興のベンチャー企業経営者らが共同で買収しただけあって、「もともとは多忙を極めるオーナーたちが、自分たちが利用する目的でヘリポートを作ったが、それを見た会員の間にも徐々に利用が広がっている」(平山直史支配人)という。
会員からチャーターの要望がある都度、コースでヘリコプター会社に手配、料金は片道10万円と、決して安くはないが、4名乗れてバッグも積める。
車だと都心から1時間はかかるし、帰路の常磐道の渋滞もバカにならないが、ヘリなら新木場や芝浦からひとっ飛びでわずか15分。
「ゴルフの後に予定が入っている多忙な経営者や政治家にとって時間は貴重。そのままヘリで移動先へ向かうことも出来る」(平山氏)。
民事再生で会員有志の企業に引き継がれたグランフィールズCCは、コース側での手配はしていないので、会員は事前に連絡してヘリでやってくる。
「ヘリ会社が運営している会員組織に入り、必要な時に利用している会員もいる」(同CC)という。
ヘリコプター会社はトヨタ自動車系の朝日航洋、名古屋鉄道系の中日本航空などの大手を含めて30社ほど。
雄飛航空の会員組織は入会金250万円の他、月会費が3万円かかるが、ほぼ全額フライトフィに充当される。
フライトフィは1機1時間21万円。会員はやはり「新興企業が多く、福利厚生の一環でお花見など用途は広がっている」(同社)という。
不況下でもお金はあるところにはあり、時間をお金で買う人はいたということだろう。
まさに"時は金なり"だ。
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