“ハニカミ王子”こと15歳の石川遼は、日本アマで無念の予選落ち。だが、石川遼効果で実現した史上初の同大会地上波中継の結果もまずまずで、さらには次のプロツアー参戦も決定するなど、ゴルフ界の台風の目としての存在感は相変わらずだ。
これまでジュピターゴルフネットワークが毎年、中継してきた日本アマだが、今年は急遽、フジテレビ系列が初日から中継を決定。
その視聴率は、初日が3.6パーセント、2日目5.0パーセントとゴルフ中継としては上々のものだ。
放送時間帯も初日が午後3時、2日目が午後2時7分からと、通常、ゴルフファンがテレビ観戦する時間帯ではない平日ということを考えると、かなりの数字と言えるだろう。
ストロークプレーがこの2日間で終わり、大会の目玉だった石川は予選落ちしたが、その後のマッチプレーも初日が3.1パーセント、2日目が3.0パーセント、野球とコミだったとはいえ最終日が5.7パーセントと、立派にゴルフ中継として成り立つ数字を残している。
一部新聞報道では「(石川の予選落ちに)ザマーみろの大合唱」などと叩かれもしたが、満足そうに担当プロデューサーが2日目にはコメントを公表。
石川に関しては「予選を通過しようとファンのために最後の最後まで諦めずに必死でプレーしている姿に感動し、その姿を伝えることができてよかったと思います」と、放送の成功をアピール。
さらに、決勝を最後まで放送できなかったことで苦情もあったが「本当に申し訳ない」と、謝罪している。
視聴率についても「ゴルフファンが少ない時間帯なので満足しています。最終日には瞬間視聴率が8.2パーセントになった時間もあるので、だからこそ最後まで放送できずに申し訳ない」と、目論み以上に視聴者を掘り起こすことができたようだ。
さらに、日本アマ開催週の週末に行われたプロツアーにもこの効果は波及。
男子ツアー、ウッドワンオープン広島(日本テレビ系列)の視聴率が、3日目4.2パーセント、最終日5.4パーセント、最終日のみ全国放送(フジテレビ系列)の女子ツアー、明治チョコレートカップも、5.7パーセントといい数字を記録しており、あらたなゴルフブーム到来といっても過言ではないだろう。
また、石川にはプロツアー優勝直後から、他のツアー競技から出場の打診が数多くあったが、しばらくはアマチュア競技に専念する以降を示していた。
唯一、埼玉オープンに参戦したが、これは埼玉在住であることと、日本アマへの実戦練習の意味合いをかねてのものだった。
だが、ここへ来て特別招待枠での出場を打診していた全米アマへの予選免除での参戦が認められず、競技出場の方針が変わった。
日本アマを中継したフジテレビグループが主催するフジサンケイクラシック(8月30~9月2日、山梨・富士桜CC)への参戦を決めたのだ。
本誌締め切り直前に飛び込んで来たこのニュースに、ゴルフ界は色めきたった。
今週開催される世界ジュニア(17~20日、カリフォルニア州サンディエゴ)、8月の全国高校選手権と出場試合は続くものの、やはりプロ相手の姿が見たいというファンの期待に応えるものだからだ。
いずれにしてもすべてが石川遼の双肩にかかっている現在の男子ゴルフ界。
15歳の身には、少し重すぎる気もするが、それを乗り越えてこそ真のヒーローだ。
(数字はいずれもビデオリサーチ調べ。関東地区世帯視聴率)
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