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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 8/7号
2007/7/26更新
ファンドの真打ち!? あのジョージ・ソロスが
ゴルフ場ビジネスに進出

 2大外資が熾烈な買収競争を繰り広げる一方、それ以外の外資は影が薄いゴルフ場業界だが、世界有数の投資家、ジョージ・ソロス傘下のファンドが榛名の森CCを買収したことが判明した。


サントリー、リーマン、ソロス関連ファンドと
オーナーチェンジした榛名の森CC


 同CC(群馬県)は、96年にサントリーの高級接待用コース、響きの森CCとしてオープン。

 会員も400名ほどいたが、サントリーは総額70億円の預託金を全額返還、パブリックにした上で、運営受託会社としてPGMを付け、昨年8月末に米国系大手証券会社、リーマン・ブラザースグループに売却している。

 今回リーマンから譲渡を受けたのは、ジョージ・ソロス傘下の不動産投資ファンド、ソロス・リアルエステート・インベスターズの関連ファンド。

 04年に、東証一部上場の不動産ファンド運営会社、リサ・パートナーズと提携、これまでにリサとの共同投資案件だけでも1000億円規模の投資実績がある。

 リサとの提携案件以外でも、独自に大型のオフィスビルやホテルなどにも積極的に投資をしているが、国内ゴルフ場への投資はおそらくこれが初。

 ジョージ・ソロス氏は30年ハンガリー・ブタペスト生まれのユダヤ人で、最初にファンドを立ち上げたのは39歳のとき。

 ファンド創設10年で3365パーセントもの驚異的な運用成績を上げている。

 創設12年目に巨額の損失を出したが、創設23年目にあたる92年には、イギリス政府によるポンド買い支えに対抗し、100億ドル規模の徹底したポンドの空売りで遂にイギリス政府に“売り”勝ち、実に15億ドルもの利益を得、「イングランド銀行をつぶした男」とすら呼ばれたことはあまりにも有名だ。

 巨額の資金ゆえに、世界中の通貨や株式から商品先物に至るまで、あらゆる金融商品の相場を動かしてしまうほどの影響力を持ち、97年のアジア通貨危機の際には、マレーシアのマハティール首相から戦犯呼ばわりされたこともある。

 収入としては、06年には日本円で1000億円のボーナスを得ている。

そんなソロスのファンドによるゴルフ場進出なだけに、今回取得した榛名の森CCについての見通しや、今後どのくらい買うつもりなのかなど、ゴルフ場投資に対する考え方を知りたいところだが、残念ながら接触不能。

 榛名の森CCはオーナーチェンジ後も引き続きPGMが運営を受託している。

 サントリーの依頼で、昨年9月から3年間の契約になっており、「契約が切れる2年後以降のことまでは今の段階ではわからないが、契約期間中はこれまで通りの運営を行う」(PGMの親会社・PGGIH広報)という。

言い換えればPGGIHは取得対象と考えなかったことになる。

 それもそのはず、ジャック・ニクラス設計の同CCは、戦略性に富んだ設計とコースコンディションの良さには定評があるが、関越自動車道・高崎ICから34キロと、立地条件はかなり厳しい。

 冬も1月、2月の2カ月がクローズ期間。

 戦略性が高いということはカジュアルではないということでもあり、「集客が難しいコース」(ゴルフ場コンサルタント)だ。 PGGIH自身、「黒字化が見込めないと取得対象としては難しい」とし、赤字解消が難しいコースであることを暗に認める。

 今回の取得には無関係ながら、ソロスの提携先であるリサ・パートナーズは、「今のところ投資対象にゴルフ場を加える予定はない」(広報担当)という。

 リサは先頃、沖縄で“宮里藍応援カフェ「Aicafe54」”をオープンさせたばかりだが、これは「沖縄で展開している商業施設プロジェクトの一環」(同)にすぎない。

 コースの事情を見るとソロス関連のファンドが買いに入ったものの、短期間での再転売もあるかも?

 榛名の森CCの今後に注目したい。

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