「優勝したのは、どこの誰だ?」。ニューヨーク州のワイカギルCCで行われた米女子ツアー、HSBC世界マッチプレーの翌日、地元紙ニューヨークポスト(7月23日付)が皮肉たっぷりに報道した。決勝戦は昨年の米LPGAの新人王イ・ソンファと2位宮里藍。ソンファが17ホールで2アンド1で勝利したが、米LPGA関係者たちは一様に浮かない表情だった。
ニューヨーク在住のゴルフ記者パトリック・クラーク氏が語る。
「2年前に始まった世界マッチプレーですが、今年は昨年優勝のブリタニー・リンシコムをはじめアニカ・ソレンスタム、ロレーナ・オチョアなどのスターたちが2回戦までに早々と姿を消してしまったからです。
バッドガールと定評でも観客を呼べるミッシェル・ウイも招待を断るなど、高視聴率を期待できるプレーヤーが不在のなか、生中継したCBSにスポンサーたちからのブーイングが殺到しました。
最終日(準決勝と決勝)の主役は2人の韓国人、日本人、スウェーデン選手の4人。ギャラリーも日本人、韓国人、マッチプレーを主催した中国系銀行の招待客の中国人が圧倒的で、アメリカ人、白人の姿はあまり見られませんでした。
取材記者やカメラマンも日本人ばかりで、米人カメラマンの数は5、6人ほど。
米人記者も取材に出ないで、記者テントで全英オープンに夢中になっていました。
アメリカ人ギャラリーの1人は、アジアから来た小娘のゴルフを見るために金を払ったわけではないと露骨に嫌味をいっていました」
今回のマッチプレーの賞金総額は200万ドル。優勝者は50万ドル、2位は30万、3位は20万、4位が15万。8強入り選手は5万、16強入りは2万5000ドルだ。
今回出場した韓国選手は64人中21人と全体の3分の1。
16強に残った韓国選手5人の賞金だけでも約90万ドルを占有したことになる。
2位の宮里藍の賞金30万ドル、準々決勝で敗退した台湾のエミー・ホンの賞金を含めると約130万ドル以上、賞金全体の3分の2をアジア勢がかすめ取った形になった。
ある米人記者が囁いた。
「1週間前のコーニングクラシックでもパク・セリが優勝して、韓国選手が2連勝した。韓国選手は今季40人以上エントリーしており異常なほど多い。
LPGA関係者のなかにはこのままでは米LPGAではなく、米韓LPGAと名前を変えるべきだと皮肉る連中もいる。
6月末の全米女子オープンではクリスティ・カーが優勝したが、10位タイまでに8人の韓国人選手が入った。
もちろん実力の世界だから文句はいえないが、US女子オープンではなく、US・コリアン女子オープンと名前を変えろと堂々と主張する米マスコミもいた。
笑い話ではない。なかにはアジア娘に賞金を独占されるならスポンサーをおりるとLPGA離れを検討する米企業もあるようだ。
強い韓国人選手の数を制限するか、あるいはひとまずLPGAを解体して、韓国選手が入らないようなツアー機構を作るべきだなんていう悪い冗談も聞きました」
前出のニューヨークポスト紙も「アジア人ギャラリーはゲームを楽しんだだろうが、大会主催者たちは今後のビジネスを考えると、アンハッピーだった」と書いた。
一方で韓国マスコミは新人ソンファを「リトル・パク・セリ」と呼び、「新人から女王へ変身した」と大はしゃぎだった。
これで今シーズンの韓国選手の優勝は、キム・ミヒョンとキム・ヨンを加えて4人目となった。
日本では宮里藍の悔しさばかりが報道されたものだが、米女子ツアーのもう一つの問題が浮き彫りにされた試合でもあった。
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