ゴルフなどレジャー産業界では権威あるデータとされる『レジャー白書』。その07年度版が(財)社会経済生産性本部から発行された。それによれば、06年中にゴルフコースで1回以上プレーした人の人口は、同調査の開始以来、初めて900万人を割ったとのデータが出た。これに対し、ゴルフ場関係者の間からは、現状とはややかけ離れているとしながらも、より危機感をもって捉えるべきとの声が聞かれた。
『レジャー白書』は、全国の都市部(人口5万人以上)に住む15歳以上の男女3000人を対象にしたアンケート調査をまとめたもの。
ある余暇活動を前年中に1回以上行ったと答えた人の割合(参加率)や人口(参加人口)、年間活動回数などを算出して、日本人の余暇活動への参加実態や余暇意識を分析。
今回のアンケートは今年1月に実施し、2453人から有効回収(回収率81.8パーセント)を得ている。
その結果、06年中に1回以上、ゴルフコースでプレーした人口、いわゆるゴルフ人口は前回の1080万人(参加率9.8パーセント)から190万人もの減で、890万人(同8.1パーセント)となった。
同白書では84年から毎年ゴルフ人口を調査してきたが、900万人割れは初のことだ。
一般に、日本のゴルフ人口は1000万から1200万人と言われてきた。それは主に同調査の裏づけがあったから。
ゴルフ場入場者数の減少が深刻だったこの数年でも、レジャー白書のゴルフ人口は1000万人台~1300万人台で上下。
一昨年の1030万人から1080万人に増加した昨年は、「減少傾向も、ついに底を打ったか」といった見方がなされた。
ところが、今回はそうした希望的な見方を打ち砕く数字となった。
また、ゴルフ練習場を年1回以上利用した練習場人口も、昨年発表の1040万人(同9.4パーセント)から160万人減の880万人(同8.0パーセント)となり、こちらは調査開始以来、初めて1000万人台を割った。
この大幅減をゴルフ場関係者はどうみるのだろう。
「その数字は知っています。でも、一気に190万人、率にして17.6パーセントも減ったというのはどうでしょうか。現場では、その実感はありませんね」
と語るのは東日本ゴルフ場支配人会連合会会長の大石順一氏(八王子CC総支配人)だ。
もともと同白書については、サンプル数が少なく、実態とはやや乖離があるとの指摘はあった。
ただし、大石氏は今回の1000万人台割れは、将来的にはあながち非現実的な数字ではないとも言う。
「今のままでは、早ければ5年後、遅くても10年後には、この数字が現実のものになる可能性がありますよ」
というのは、現在、最もコアなプレー層になっている団塊世代が、いずれゴルフからもリタイヤするからだ。
ゴルフコースへの参加率は男性全体では14.9パーセント(同女性1.7パーセント)だが、世代別に見ると、最も高いのは「60代以上」で20.4パーセント。
次いで「30代」の16.7パーセント、「50代」の16.3パーセントとやはり高齢者層が上位。「10代」は数値なし、「20代」は4.0パーセントと極端に少ない。
ちなみに、女性のトップは「50代」の3.5パーセント。
「今回の1000万人割れを実態に即していないと片づけるのではなく、警鐘として捉えなければいけないのでしょうね」(大石氏)
だが、光明がないわけではない。もともとジュニアのゴルフ熱の高まりがあったうえに、今年はそれに石川遼くん効果が加わった。
また、今回の同白書では各世代のゴルフ参加率が減る中で、男性「30代」は前回より2.3ポイント増の16.7パーセントと増え、女性「20代」は0.2ポイント増の1.9パーセントと微増している
ジュニア世代にはゴルフへの関心が高まっているが、それに加えて若い世代にもゴルフ熱が起きそうな気配が感じられる。
さらに同白書では、ゴルフの潜在需要(参加希望率-現在の参加率)は、男性若年層で高くなっている(10代:9.0パーセント、20代:11.2パーセント)と特筆しており、ジュニア振興と延べ利用者数の増加に今後の期待を寄せている。
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