ゴールドマン・サックスグループ(以下、GS)が筆頭債権者のコースのスポンサーに、PGGIHが内定――。次々と新たな顔ぶれの参戦が続くゴルフ場争奪戦線とはいえ、2大外資の存在感は圧倒的。久々の2大外資直接対決かと思いきや……。
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結局PGGIHがスポンサーになった茨木国際GC
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今回PGGIHがスポンサー契約を締結したのは、関西の老舗コース・茨木国際GC(大阪府)の経営会社である国際ゴルフ㈱。
今年2月に債権者であるGSが会社更生手続の開始を申立てていたが、スポンサーの座は一転PGGIHが獲得した。
GSと、PGGIHの親会社、ローンスターグループ(以下、LS)の一騎打ちとして名高いのは、何と言ってもSTT開発と日本ゴルフ振興を巡る争奪戦だろう。
民事再生を使ったSTTでは、入札でLSにスポンサーが決まってから、GSが他の債権者から債権を取得。会社更生手続の開始を申立て、巻き返しを図る策に出た。
結局は再生手続きが優先し、スポンサーもLSが獲得。その結果弁済率は3パーセントに。この水準、当時としてはかなり高い方だった。
そして最も熾烈を極めたのは日本ゴルフ振興。
会社側はRCCとの共同申立による民事再生を選択したが、大口債権者のLSが会社更生で対抗。結果、民事再生が棄却されて会社更生手続に移行。
当然のことながらLSがスポンサー候補最有力と言われながら、GSにひっくり返されるというどんでん返しが。
結局最終的にはLSが奪い返したが、弁済率は11.5パーセント。当時としてはケタ違いの高配当になった。
が、こんな衆人環視の元での一騎打ちが行われたのも今は昔。ここ2~3年は露骨な一騎打ちは影を潜めていた。
「入札になると値段がつり上がるので、あらかじめスポンサーを決めて申立てるプレパッケージ型が主流になり、極力入札を回避する傾向が強まった」(業界関係者)からだ。
今回の茨木国際のケースでも、PGGIHはスポンサー契約締結を報じるプレスリリースにおいて、今後のスケジュール欄に「2008年2月下旬更生計画案の可決(予定)」と記している。
「大口債権者であるGSとは既に話が付いており、来年2月に開催される予定の債権者集会で、GSが反対票を投じることはない」(管財人の木内道祥弁護士)という。
GSと話がついたということは、よほどの好条件が提示されたことは間違いない。弁済率もかなりの高水準が期待出来るだろう。
傍目にはすっかりスマートになった感のある争奪戦。
もっとも、争奪戦の舞台がより川上に移り、衆人の目にはほとんど触れなくなっただけで、水面下では競争はいっそう熾烈になっているのだろう。
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